タデ

タデ（蓼）

タデは、タデ科イヌタデ属に属する植物の総称で、特にサナエタデ節（ペルシカリア節）を指します。かつてはタデ属として分類されていましたが、研究が進み、現在では複数の属に分割されています。

形態と生態

タデは草本であり、一年草と多年草があります。陸生のものは一年草ですが、水生のものは地下茎を持つ多年草です。葉鞘は切形、花序は穂状という特徴があります。

分布

タデは温帯を中心に、ほぼ全世界に分布しています。

系統関係

イヌタデ属は複数の節で構成されており、近縁属との系統関係が研究されています。分子系統の研究により、いくつかの種が新しい節に分離される説も出ていますが、確定的なものではありません。

主な種

サナエタデ節には約60種が属し、日本には約20種が自生しています。代表的な種としては以下のようなものがあります。

陸地生、一年生、茎や葉に毛が多い:
オオケタデ
ニオイタデ
ネバリタデ
陸地生、一年生、毛がないかわずか:
アイ（タデアイ）
イヌタデ（アカマンマ）
オオイヌタデ
サナエタデ
ハナタデ
ハルタデ
水辺生、多年生、地下茎を引く:
エゾノミズタデ
サクラタデ
シロバナサクラタデ
水辺生、一年生、地下茎を引かない:
シマヒメタデ
ヌカボタデ
ヒメタデ
ホソバイヌタデ
ボントクタデ
ヤナギタデ（ホンタデ、マタデ）
* ヤナギヌカボ

その他にも、多くの種が存在します。

人間との関わり

利用

食用とされるのは主にヤナギタデ（真タデ）で、独特の辛味と香りがあり、薬味として用いられます。辛味成分はポリゴジアールで、消化促進、食中毒予防、抗菌作用、抗がん作用などが知られています。

野菜としては、芽出しの「芽タデ」と本葉の「笹タデ」があり、葉の色によって「紅タデ」と「青タデ」に分けられます。刺身のつまや、タデ酢、タデ味噌などの調味料としても利用されます。

ヨーロッパでは、ヤナギタデは黄色の染料としても用いられていました。オオケタデは観賞用として栽培されています。

文化

「蓼食う虫も好き好き」という諺は、人の好みは様々であることを表しています。また、王粲の詩に由来する「蓼虫辛きを知らず」という格言もあります。谷崎潤一郎の小説『蓼喰ふ虫』も有名です。

タデは、食用、薬用、染料、観賞用として、古くから人々の生活に関わってきた植物です。

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