タニノクロウ

タニノ クロウについて

タニノ クロウ（本名：谷野 九郎、1976年6月13日生まれ）は、日本の劇作家、演出家、元精神科医として知られるアーティストです。富山県富山市に生まれ、医学の道を進むも、演劇への情熱に目覚め、独自のスタイルを確立してきました。現在は庭劇団ペニノの一員として活動しており、さまざまな舞台作品を手がけています。

幼少期と教育背景

医師の家庭に生まれたタニノは、幼少期から絵画や彫刻に関心を持ち、自己表現を大切にしていました。千葉県の全寮制暁星国際高等学校に進学し、美術に詳しい数学教師の指導を受ける中で、サルバドール・ダリやマルセル・デュシャンに強い影響を受け、シュールレアリズムに傾倒していきました。医学の道を選んだのは家庭の影響であり、昭和大学医学部に進学しました。

大学生活では演劇部の復活に尽力し、2000年に演劇団体「庭劇団ペニノ」を結成。劇団名は「ペニス」と「タニノ」を組み合わせたものであり、彼の独特な創作スタイルを象徴しています。

演劇活動の展開

タニノは初期の頃から、脚本をシナリオ形式ではなく絵コンテ形式で作成する独自の方法を取り入れ、視覚的な表現力を高めました。2002年にはガーディアンガーデン演劇フェスティバルに参加し、その後も病院での精神科医としての活動と並行して演劇の道を追求していきました。

彼の演劇作品は、通常の劇場での公演に留まらず、自宅や野外に劇場を設置するなど、自由で柔軟な形式を追求しています。近年は、海外での評価も高まり、台湾やEU圏、北米の劇場からの招聘を受けており、国際的な演劇祭でも高い評価を得ています。

受賞歴と功績

タニノは多くの演劇賞を受賞しており、2007年には「野鴨」で第7回バッカーズ演劇奨励賞を受賞。その後も「笑顔の砦」、「星影のJr.」が岸田國士戯曲賞の最終候補にノミネートされるなど、評価が高まっています。2016年には自身の故郷にちなんだ作品「地獄谷温泉 無明ノ宿」で第60回岸田國士戯曲賞を受賞し、同年の北日本新聞芸術選奨も受賞しています。また、第71回文化庁芸術祭優秀賞や富山ひまわり賞特別賞、さらには第36回とやま賞（文化・芸術部門）など、数多くの賞を受けています。

さらに、2024年には岸田國士戯曲賞の選考委員に就任し、自らの経験を若手の作家たちに還元することが期待されています。

著作と舞台作品

著書としては『地獄谷温泉無明ノ宿』や『虹む街』があり、これらは作家としての彼の視点やテーマを色濃く反映しています。演劇作品は非常に多岐にわたり、代表作には『優勝あつかまSLAVES』『環と紫煙のアンギュラム』『ダークマスター』などがあります。これらの作品は単なる娯楽に留まらず、観客に深い思索を促し、さまざまな感情を引き起こすものとして評価されています。

タニノ クロウは、そのユニークな視点と表現力豊かな演出を通じて、今後も日本の演劇界で重要な存在であり続けることでしょう。

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