タニノハローモア

タニノハローモアの略歴と競走馬としての軌跡

誕生と育成

タニノハローモアは1965年4月23日にカントリー牧場で誕生しました。彼を育てたのは、競走馬の育成に情熱を注いだ馬主の谷水信夫です。谷水は「鍛えて最強馬を生み出す」という哲学のもと、厳しいトレーニングを実施し、多くの馬がデビュー前に競争能力を失う厳しい環境で育てられました。タニノハローモアと共にこのスパルタ教育を受けたマーチスとともに、戸山為夫調教師のもとでデビューすることとなりました。

現役時代

タニノハローモアは、3歳でデビューを果たしますが、初勝利を挙げるまでには4度のレースに挑む必要がありました。その後はひと月に1、2走を重ね、最終的には東京優駿（日本ダービー）に出走するまでに17回のレースを経験しました。この出走数は、日本ダービー歴代優勝馬の中でも最も多く、当時の競馬界においても話題となりました。

デビューからの多数の出走では重賞勝ちがなかったものの、11月のオープンレースではレコード勝利を果たし、合計で5勝を挙げています。皐月賞ではマーチスに次ぐ6着、NHK杯でも3着となり、東京優駿に出走した際には8連敗中だったため、レース前の評価は低く、単勝9番人気というものでした。

東京競馬場では、マーチス、タケシバオー、アサカオーの3強対決が繰り広げられ、観客は熱狂しましたが、3頭は互いに牽制しあい、その隙を突いてタニノハローモアが逃げ切る形で勝利を収めました。レース前に彼の陣営は「1枠1番を生かして、思い切って逃げよう。3強は互いに牽制するはずだから、ひょっとするかもしれない」という作戦を立てていました。

その後もタニノハローモアは競走を続け、札幌競馬場スタンド増築記念にも出走しました。菊花賞では6着に終わりましたが、朝日チャレンジカップや京都盃、中京記念などの重賞を勝利しました。彼は谷水信夫氏と戸山調教師の思想に基づいて鍛えられ、競走馬としての実力を思う存分発揮しました。

現役時代には30回のレースに出走しましたが、逃げ馬でありながら大きな失敗をするレースは少なく、掲示板（5着以内）を外したのは皐月賞と菊花賞の2回のみでした。

引退とその後

タニノハローモアは5歳春に引退し、その後は種牡馬としての道を歩みました。彼の東京優駿での優勝が展開によるものであったためか、種牡馬としての評価はあまり高くなく、特筆すべき産駒を残すことはありませんでした。1985年10月15日に66歳でこの世を去りましたが、種付けは亡くなる年まで行われており、その結果生まれた1986年の産駒の一頭「ミチノクモアー」は1991年まで競走馬として活躍していました。タニノハローモアは短い競走馬人生の中で数々の記録と共に、今なお多くの競馬ファンの記憶に残る存在です。

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