アサカオー

アサカオーの競走馬としての歩み

アサカオーは、日本の競走馬として数々の栄光を手にした名馬です。1968年に行われた第29回菊花賞を制し、その年の啓衆社賞で年度代表馬にも選ばれました。彼を騎乗したのは加賀武見騎手で、当時の関東ではナンバーワンの騎手と称される存在でした。アサカオーは、父に三冠馬シンザンを持つ大種牡馬ヒンドスタンを持ち、近縁にはエプソムダービーを制したピンザがいます。これらの背景から、アサカオーは「良血」「貴公子」と称されました。

戦績の振り返り

アサカオーは1967年10月、中山競馬場でデビューしました。初戦は惜しくも2着でしたが、その後は2連勝を果たし、朝日杯3歳ステークスに出走します。このレースで彼は、同じく後にライバルとなるタケシバオーと初めて対戦しましたが、タケシバオーに1秒2の差をつけられ3着に終わります。ここでのアサカオーの「良血」に対し、タケシバオーは父母系に活躍馬がほとんど無く「野武士」と称されており、このことが以後の対抗関係を一層印象深いものにしたとされています。

アサカオーの明け4歳初戦での京成杯では2着となり、続いてオープン戦では連続勝利を挙げて弥生賞へ向かいます。このレースにはタケシバオーやマーチスといった、後の3強が揃うことになります。タケシバオーのペースを後方から待ち構え、直線で抜け出して初の重賞制覇を達成しました。

その後、日本短波賞でも勝利を収めますが、スプリングステークスでは2強に敗れて3着。皐月賞では3番人気で出走しますが、後方から進出し、最終直線で2頭の激しい競り合いを演じるもマーチスに敗れ、3着に終わります。3強の正確な実力を示すレースとなりました。

以降、NHK杯を腹痛で回避し、東京優駿（日本ダービー）では3番人気に推されましたが、他の2強との牽制もあり、逃げ切ったタニノハローモアの3着に終わります。この後、秋季から再出発するも、復帰戦は勝利。しかし、次の京都杯では再びタニノハローモアに敗れ、菊花賞に向かうこととなります。

菊花賞では、タケシバオーがアメリカ遠征中で不在という有利な状況の中、マーチスと一騎討ちの予想が立てられ、アサカオーは2番人気に推されました。レースでは後方待機から徐々に進み、直線での早い段階でタニノハローモアとマーチスを瞬時に交わし、惜しい勝利を収めました。

有馬記念では1番人気に支持されるも、不良馬場で伸びきれず6着に終わる結果となります。この年は、皐月賞や東京優駿での成績からアサカオーが年度代表馬に輝いたものの、最優秀4歳牡馬はマーチスに与えられました。

引退後の歩み

アサカオーは競走から引退後、日本中央競馬会に買い上げられ、1971年から青森県の扶桑牧場で種牡馬として供用されることとなりました。しかし、地理的条件により種付け頭数は伸び悩み、生涯で46頭の産駒が誕生しましたが、その後に活躍馬を輩出することはありませんでした。1979年には山内牧場へ移動し、翌年には腸捻転のために死亡しています。

競走馬としての活躍と、その後の種牡馬としての波乱に富んだ人生を送ったアサカオーの記録は、多くの競馬ファンの記憶に刻まれています。

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