マーチス

マーチス - 日本の名馬の軌跡

マーチスは、1965年5月11日、静内町のカントリー牧場に誕生した競走馬です。この牧場は、競馬界に名を馳せた馬主の谷水信夫によって設立され、マーチスはこの牧場の第一期生として、その血統と馬格に恵まれていました。彼は、当歳の頃から調教師の伊藤修司に注目され、馬主の大久保に買い取られることになります。

鮮烈なデビューと最初の栄光

マーチスが厩舎に入ったのは、1967年の春です。彼はその年の7月に函館競馬場でデビューを果たし、新馬戦と札幌のオープン戦を連勝。その後、しばらくは成績が伸び悩む時期が続きますが、年末に行われた阪神3歳ステークスで劇的な勝利を収め、関西の3歳チャンピオンの座をつかみました。この勝利は、騎手の保田隆芳が巧妙に策をめぐらした結果であり、マーチスは勢いに乗ることになります。

華やかな1968年

1968年のシーズンでは、まずダートのきさらぎ賞を制し、続いて弥生賞に出走します。このレースでは、同じ世代の名馬タケシバオーやアサカオーとの初対決が待っていましたが、マーチスはその結果として3着に終わりました。しかし、その後のスプリングステークスでは、二頭を抑えての勝利を収め、連勝を続けました。

皐月賞では、雨の中での重馬場をものともせず、最後方から追い上げ、タケシバオーとアサカオーを振り切って優勝。この勝利によって、騎手の保田は栗田勝に次ぐ史上二人目の五大クラシック完全制覇を達成し、JRA史上初めて八大競走を完全に制覇するという記録を残しました。

大舞台への挑戦

続くNHK杯も制し、東京優駿へ向けて期待が高まります。この年の東京優駿は特に注目を集め、「七夕ダービー」として行われました。マーチスは1.7倍のオッズで1番人気でしたが、レース中には不運な接触に見舞われ、結局は4着に終わります。この結果は他の競走馬が互いにけん制し合ったことにより、伏兵タニノハローモアに逃げ切らせてしまう形となりました。

その後もマーチスは古馬とのレースで活躍し、札幌記念や目黒記念（秋）を制するも、主要競走では思うような成績を残せず、ついには1970年に引退を迎えます。引退後は種牡馬として鹿児島県の牧園牧場で過ごしましたが、特に目立った成績を残すことはありませんでした。また、1988年に老衰により亡くなるまでの晩年は厳しいものでした。

魅力的なキャリアのまとめ

マーチスは全31戦中、4番人気以下に落ちたことが一度もなく、21回も1番人気に推された名馬でした。栄誉あるタイトルの数は皐月賞のみでしたが、それを補うほどの魅力と見る者の心を奪う走りで、競馬ファンの記憶に深く刻まれる存在であり続けました。厳しい競争の中で輝きを放ったマーチスの軌跡は、今も多くの人々に語り継がれています。

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