タブー・チューズデイ

タブー・チューズデイ：WWEの歴史に刻まれた革新的プロレス興行

タブー・チューズデイは、アメリカのプロレス団体WWEが2004年から2005年にかけて開催した、プロレス興行およびペイ・パー・ビュー（PPV）イベントです。従来のプロレス興行とは一線を画す、いくつかの革新的な特徴を備えていました。

まず、その最大の特徴は、試合形式や敗者への罰則をファンがインターネット投票で決定するという点です。通常、興行の内容はプロレス団体側が決定しますが、タブー・チューズデイではファンが興行の一部を直接的に形作る、インタラクティブな要素が取り入れられました。投票はイベント開催日の前日まで行われ、ファンの意向が直接的に試合展開に影響を与える、新しい試みとして注目を集めました。

さらに、タブー・チューズデイは、PPV大会が通常行われる日曜日ではなく、火曜日に開催されるという異例のスケジュールを採用しました。これは、プロレス興行の開催日としては珍しく、話題性と注目を集める要因の一つとなりました。しかし、この火曜開催が、後に興行の低迷を招く要因の一つとなることになります。

2004年大会：ミルウォーキーの熱狂と実験的な試み

2004年10月19日、ウィスコンシン州ミルウォーキーのブラッドリー・センターで開催された第1回大会は、3,500人の観客を集めました。この大会では、様々な試合形式や罰則がファン投票によって決定されました。

例えば、ユージン対エリック・ビショフの試合では、『敗者は勝者に髪を剃られる』『敗者は女装する』『敗者は勝者の召使になる』という3つの罰ゲームの中から、ファン投票で『敗者は勝者の召使になる』が選択されました。また、トリッシュ・ストラタスが王者として出場したWWE女子選手権試合では、試合コスチュームがファン投票によって決定されました。

その他にも、スティール・チェーン・マッチ（チェーンを凶器として使用可能な試合）や、ランジェリー・ピロー・マッチなど、視聴者の投票によって試合の様相が大きく変わる、実験的な試みが数多く行われました。

2005年大会：サンディエゴでの集大成と興行の終わり

2005年11月1日、カリフォルニア州サンディエゴのiPayOne Centerで開催された第2回大会は、前年を上回る6,000人の観客動員数を記録しました。しかし、この大会をもってタブー・チューズデイは幕を閉じました。

この大会でも、前年同様、ファン投票による試合形式やパートナーの選出、キャラクターの変更などが行われました。例えば、マンカインド対カリートの試合では、マンカインドのキャラクターがファン投票で決定され、様々な試合がファン投票によって変化に富んだものとなりました。

タブー・チューズデイ消滅の背景

タブー・チューズデイが消滅した理由としては、2回の大会がどちらも平日の火曜日に開催されたことが挙げられます。このため、観客動員数や興行収入などの業績が期待を下回り、経済的に成功したとは言えませんでした。

その後、2006年には、タブー・チューズデイとほぼ同じ形式の『サイバー・サンデー』が開催されました。サイバー・サンデーは、タブー・チューズデイと同様のファン投票システムを採用しつつも、開催日を日曜日へと変更しました。この変更は、平日の開催が興行の成功を阻害したという反省を踏まえたものと考えられます。

タブー・チューズデイは、短い期間ながらも、ファンの参加によって興行を形作るという革新的な試みを行った、WWEの歴史における特異なイベントでした。その試みは、後のプロレス興行にも影響を与えたと言えるでしょう。しかし、興行の成功という点では課題を残し、短命に終わったことも事実です。タブー・チューズデイの成功と失敗は、現代のプロレス興行を考える上で重要な教訓を与えてくれます。

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