タマラ・ジェーワ

タマラ・ジェーワの生涯と業績

タマラ・ジェーワ（Tamara Geva）は、ロシア出身のバレエダンサーであり女優としても名を知られる存在でした。彼女は1906年3月17日にサンクトペテルブルクで生まれ、1997年12月9日にマンハッタンで生涯を終えました。彼女の本名はタマラ・ジェヴェルジュエワで、複雑な血筋を持ち合わせつつも、優れた美貌と才能で芸術の世界に名を刻みました。

出生と最初の結婚

彼女の家族には、父方からタタールとトルコ、母方からはスウェーデンの血が流れていました。母の性格は利己的であり、不貞もあったとされています。そして、ジェーワが6歳の時、両親はようやく正式に結婚をしました。父のレフコ・ジェヴェルジェイエフはロシア正教会が使用する装飾品の製造に成功し、一方で舞台芸術にも深い理解を持っていました。

幼い頃から舞踊に興味を示し、ジェーワはサンクトペテルブルクでバレエを学び、GATOB（後のキーロフ・バレエ団）に加盟しました。彼女は15歳のときに、ギオルギ・バランチヴァーゼ（後のジョージ・バランシン）と出会います。当初は、社交ダンスの授業で彼の異なる魅力に惹かれ、やがて彼と結婚することになります。

ロシアからの出国

結婚後、バランチヴァーゼは振付家として活動を始め、多くの公演を手がけていました。しかし、彼に対する圧力は増大し、ついにはロシアを離れる決断を下します。彼を助けたのは、元オペラ歌手ウラジーミル・ドミートリエフでした。彼らはドイツ巡業を成功させますが、帰国命令が届くとダンサーたちは亡命を決意しました。

ロンドンでの契約はあまり成功せず、苦境に立たされますが、セルゲイ・ディアギレフの招きでオーディションを受け、バレエ・リュス（バレエ団）に加わります。ここでバランチヴァーゼは「ジョージ・バランシン」と名乗り、彼らの活動が広がるきっかけとなりました。

結婚の破綻とその後

新たな舞台で活動を始める一方で、ジェーワとバランシンの関係は冷却していきます。ジェーワは舞台の世界に退屈感を感じ、外の社会でもっと体験を得たいと願うようになりました。バランチヴァーゼがこの環境に満足していることが、彼女にとっては苛立ちの原因となり、最終的には結婚生活の破綻につながります。

1927年に二人は離婚に至りますが、その後もお互いに振付を提供するなど好意的な関係を保ちました。離婚後、ジェーワはアメリカに進出し、ブロードウェイやハリウッドで活躍することになります。彼女は再びバランシンと再会し、振付け作品『オン・ユア・トウズ』で高い評価を得ることとなります。

人物と評価

ジェーワは多様な芸術的関心を持ち、彼女のキャリアはバレエのみならずミュージカルや映画、ストレートプレイと様々な領域に広がりました。1972年には自伝『スプリット・セカンズ』を出版し、彼女の歴史的背景や家族のストーリーを描写しました。その作品はニューヨーク・タイムズでも文化的に洗練された女性として評価されています。

彼女の主な出演作品には、バレエ『バラバーウ』や『オン・ユア・トウズ』、映画『Cock of the Roost』などが含まれています。また彼女は2度の結婚を経て、数々の舞台作品や映画で際立った存在感を示したことでも知られています。

タマラ・ジェーワは、技術的な才能と表現力を兼ね備えた芸術家として、バレエの世界だけでなく広く文化界にその名を刻んでいます。

もう一度検索