タラワ級強襲揚陸艦

タラワ級強襲揚陸艦

タラワ級強襲揚陸艦（Tarawa-class amphibious assault ship）は、アメリカ海軍が1969年度から1971年度にかけて建造した、5隻の強襲揚陸艦からなる艦級です。この艦君は、全通飛行甲板を持ち、航空機運用と上陸用舟艇の運用という二つの大きな機能を持ち合わせています。

背景

アメリカ海兵隊は、ヘリコプターの技術革新を受けて水陸両用作戦における新たな戦術を模索していました。一方、海軍は洋上拠点となるヘリ空母の設計を進めており、ヘリコプター揚陸艦（LPH）としてイオー・ジマ級が製造されたことを受け、さらなる改良の余地があると認識していました。その結果、LPHとドック型輸送揚陸艦（LPD）を統合した新型の艦船の必要性が提起されました。

1964年、海軍作戦部長は海軍分析センター（CNA）に対し、新型艦に関する研究を依頼し、その結果、統合型陽上能力を持つ揚陸艦の設計が進められました。1966年には正式な計画が始まり、リットン・インダストリーズが受注し、タラワ級が誕生しました。

設計詳細

タラワ級の設計は、艦体の前半部と後半部に分かれており、前半部には上陸部隊の居住区や車両載せ機関があり、後半部には格納庫とウェルドックコンパートメントがあります。この設計は、従来のイオー・ジマ級と比べて大型化され、さらに複数の艦艇の機能を集約することが目的とされていました。

特に、船体後部は格納庫とウェルドックが備わっており、飛行甲板は長さ250メートル、幅36メートルと広大です。これにより、中型のCH-46ヘリコプターや大型のCH-53ヘリコプターを効率的に運用することが可能です。艦尾に位置するエレベーターは、この二つの区域を連結する役割を担っています。

航空と輸送機能

タラワ級では、最大で38機のCH-46ヘリコプターを搭載できる能力があり、様々なヘリコプターや固定翼機も同時運用することができます。また、航空燃料の搭載量は1,200トンとされ、効果的な航空運用が可能です。

輸送能力としても優れており、上陸部隊の展開に必要な装備や兵士を揚陸するために、この級艦は約2.9時間で陸上へ展開する能力を備えています。上陸隊を総括するために、最大1,903名の兵士や119名の幕僚が乗艦でき、全員に寝台が提供されます。

また、船体後端には長さ80メートルのウェルドックがあり、上陸用舟艇を最大で4隻収容する能力があります。これにより、迅速な水陸両用作戦が可能とされました。

防御および電子戦能力

防御機能として、タラワ級には54口径の127mm単装砲が装備されており、艦砲射撃による火力支援が可能です。また、シースパローやRAMミサイルなど、近接防空能力も優れています。各種レーダー装置を搭載しており、対空捜索、対水上捜索、航空管制を行うことができます。

運用履歴

タラワ級は、その後何度かの改修を経て1980年代から1990年代にかけては湾岸戦争にも参加し、「ハリアー空母」としての運用も実施しました。しかし、船体設計の限界や新型揚陸艇の運用不適合が重なり、2015年には運用を終了しました。タラワ級は、その先進的な設計により、アメリカ海軍の揚陸戦力を支えました。彼らの歴史と役割は、今後の揚陸艦の設計にも大きな影響を与えることとなるでしょう。

結論

タラワ級は、その大胆な設計思想と多機能性から、将来の揚陸艦の設計に多くの影響を与えました。海兵隊や海軍にとって、重要な役割を果たした艦級として歴史に名を刻みました。

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