タラ川

タラ川：峡谷美とラフティングで名高いモンテネグロの秘境

タラ川は、モンテネグロとボスニア・ヘルツェゴビナを国境を流れる、全長146kmの河川です。オパシュニツァ川とヴェルシャ川の合流地点から始まり、ピヴァ川と合流してドリナ川と名を変えます。その flow のほとんどがモンテネグロ国内、または国境沿いを流れています。

世界有数のタラ川峡谷

タラ川の最大の特徴は、その雄大な峡谷美です。タラ川峡谷は、世界で3番目の長さを誇る深い渓谷であり、その一部はドゥルミトル国立公園の一部としてユネスコの世界遺産に登録されています。切り立った断崖とエメラルドグリーンの水面が織りなす景観は、訪れる人々を魅了してやみません。

多様な生態系を育む貴重な自然

タラ川流域は、豊かな自然が残されており、多様な動植物が生息しています。ドナウイトウなどの貴重な魚類が生息するほか、ヤナギ、ボスニアマツ、セイヨウハンノキ、ヨーロッパハンノキ、ヨーロッパクロマツ、ブナなどの樹木が生い茂っています。1976年には、川、湖、ヒース、泥炭地、ボグ、ガラ場などを含むタラ川流域全体がユネスコの生物圏保護区に指定されました。これは、この地域が地球規模で重要な生態系を有していることの証です。

ラフティングの名所

タラ川は、ラフティングの名所としても知られています。特に人気があるのは、ブルストノヴィチャからシュチェパン・ポリェまでの18kmのコースで、このコースでは、有名なジュルジェヴィチャ・タラ橋の下をくぐり抜けることができます。他にも、スプラヴィスタからシュチェパン・ポリェまでのコースも存在し、多くのラフティング愛好家が訪れます。ヨーロッパラフティング選手権の開催地にも選ばれており、2005年と2009年には実際に大会が開催されました。

ダム建設計画と環境問題

近年、タラ川流域では、水力発電用ダムの建設計画が持ち上がっています。モンテネグロとスルプスカ共和国は、下流のドリナ川と合わせてタラ川峡谷にダムを建設する構想を度々議論してきました。しかし、環境への影響が懸念されており、計画は二転三転しています。2005年には、ドリナ川のブル・ビイェラ水力発電所建設計画が環境問題を理由に中止されました。2018年に建設会社が設立され、再び建設に向けた動きがありましたが、環境保護団体からの強い反対を受け、計画は依然として不透明な状況にあります。タラ川の自然を守りながら、地域の発展を目指すためには、慎重な議論と環境への配慮が不可欠です。

タラ川は、その美しい景観と豊かな自然、そしてスリリングなラフティング体験を通して、訪れる人々に感動を与えてくれます。しかし、ダム建設計画に代表されるように、環境問題も抱えています。タラ川の貴重な自然を未来に残していくために、私たち一人ひとりが関心を持ち、持続可能な開発について考えていく必要がありそうです。

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