タリビー (原子力潜水艦)

タリビー (USS Tullibee, SSN-597)

タリビーはアメリカ海軍所属の攻撃型原子力潜水艦で、艦名はマスの一種であるタリビーに由来しています。この艦は、ガトー級潜水艦73番艦のタリビーに続く2隻目の艦であり、同型艦は存在しません。

概要

アメリカ海軍は、潜水艦技術の進化の歴史を経て、原子力駆動と涙滴型船殻を兼ね備えたスキップジャック級潜水艦を登場させました。これは、従来の「潜航可能な船」ではなく「真の潜水艦」の形を果たし、潜航能力の向上を目指したものです。しかし、これに伴い新たな課題も浮上しました。潜水艦が常に潜航状態になることで、唯一の探知手段であるソナーが自艦の発する雑音によって制限されることや、潜水時の高速度が潜水艦探知部隊の目に留まるリスクが高まるなどの問題が発生しました。

これらの課題に対応するため、1956年にアーレイ・バーク海軍大将によってノブスカ計画が発案され、米国立科学アカデミーの研究チームが新たな潜水艦の設計を提案しました。その成果を基に、1958年度計画で攻撃型の試験艦としてタリビーが建造されました。この艦は、同時期のパーミット級に匹敵するソナーと武装を備え、静粛性を向上させるために原子力ターボ・エレクトリック方式を採用し、艦形を小型化することで水中運動性能を高めました。

しかし、小型化の影響で原子炉のサイズと出力が制約され、速力や兵器搭載量の面で限界が生じました。このため、タリビーの運用は敵潜水艦基地周辺での待ち伏せ攻撃に特化せざるを得ず、このアプローチが消極的だと判断されたため、結局建造が1隻だけに留まりました。

この結果、タリビーは原子力潜水艦としての限界を示し、過小な艦型があまり利点をもたらさないことが確認されました。特筆すべきは、この原子力ターボ・エレクトリック方式を採用した潜水艦は、タリビーとグレナード・P・リプスコムの2隻のみで、他に開発が検討されていない点です。

艦歴

タリビーの建造は1957年11月に発注され、1958年5月にコネチカット州グロトンの造船所で起工。1960年には進水し、同年11月に正式に就役しました。

就役後、タリビーは多くの訓練と演習に参加し、1964年にはNATO軍との対潜水艦戦艦隊演習を遂行しました。1965年には再度開発任務が行われ、結果として秋まで続きました。タリビーは1970年頃に地中海での任務を経て、帰還後には殊勲部隊章を受章しました。

1988年6月25日に退役し、同日中に除籍された後、1995年から1996年にかけて原子力艦再利用プログラムに基づき解体が進められました。

関連項目

• - スキップジャック級原子力潜水艦
• - パーミット級原子力潜水艦
• - グレナード・P・リプスコム (SSN-685)
• - タリビー (SS-284)

タリビーは静粛な潜水艦の特性を持ち、限定的な運用であったものの、当時の海軍の潜水艦技術の進展における重要なケーススタディとなりました。

もう一度検索