タルチジオ・ベルトーネ

タルチジオ・ベルトーネ枢機卿は、1934年12月2日にイタリア北部のトリノ県ロマーノ・カナヴェーゼで生まれました。1950年にサレジオ会に入会し、1960年に司祭に叙階されました。その後、教皇庁立大学で教会法などの教鞭を執り、教皇庁内で重要な役割を担うようになりました。

1995年には教皇庁教理省の局長に就任し、当時の長官であったヨーゼフ・ラッツィンガー枢機卿（後の教皇ベネディクト16世）の右腕として活躍しました。この頃から、前教皇とは非常に親しい間柄であったとされています。

2002年にはジェノヴァ大司教に任命され、翌2003年には枢機卿に叙任されました。そして2006年9月15日には、教皇庁国務省長官に就任しました。この役職は、バチカン市国の元首であるローマ教皇に次ぐ地位であり、政治や外交を総括する首相に相当する重要なポストです。さらに、2007年4月4日からはカメルレンゴ（教皇庁の財産管理責任者）も兼務しました。2008年にはフラスカティの司教枢機卿に昇格しています。

2009年12月には高位聖職者の定年である75歳を迎えましたが、教皇からの続行要請を受け、引き続き職務を遂行しました。2013年8月、後任が決定したことを受けて国務省長官を引退し、同年10月15日までその任を務めました。カメルレンゴの職はその後も続けましたが、2014年12月20日に引退し、ジャン・ルイ・トゥーラン枢機卿にその地位を譲りました。

ベルトーネ枢機卿は、その経歴の中で様々な逸話も残しています。2006年には、ダン・ブラウンの小説『ダ・ヴィンチ・コード』の内容を「間違いだらけ」と批判し、大きな話題となりました。また、彼は大のサッカーファンとしても知られており、特にユベントスFCの熱烈なサポーターです。ジェノヴァのラジオ局が中継した試合では解説を務めた経験もあります。さらに、バチカン市国籍を持つ聖職者や、バチカン内で働く人々（スイス衛兵を除く）で構成されるサッカーバチカン代表にも関心を示し、「教皇庁立大学のブラジル人学生を受け入れれば、素晴らしいチームを作ることができるだろう」と述べています。

ベルトーネ枢機卿の多岐にわたる活動と、その個性的な人柄は、多くの人々に影響を与え続けています。

外部リンク
ベルトーネ枢機卿略歴（英語）

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