タンザナイト

タンザナイト

タンザナイト（Tanzanite）は、美しい青から青紫の色合いを持つ多色性の宝石です。この宝石は、灰簾石（ゾイサイト）という鉱物の変種であり、特にバナジウムを含むものを指します。

特性と物理的性質

タンザナイトは、斜方晶系に属し、比重は3.35、屈折率は1.688から1.70の範囲です。また、モース硬度は6から7で、宝石の中でも比較的柔らかい部類に入ります。これに伴い、他の宝石に比べて傷がつきやすく、取り扱いに注意が必要です。特にへき開性があり、衝撃に弱いため、扱いを誤ると割れたり欠けたりすることがあります。そのため、超音波洗浄器などの強い洗浄方法は避けるべきです。

タンザナイトの発見と歴史

この宝石の歴史は1967年に遡ります。東アフリカのタンザニアにあるアルーシャ地区のメレラニ鉱山で、ルビーの採掘をしていたマニュエル・ト・スーザーが、従来知られていた不透明なピンクや緑と異なる青色のゾイサイトを発見しました。その後、アメリカの宝石商ティファニーがこの宝石に注目し、世界中で広まるきっかけとなりました。1980年代には特にアメリカにおいてその人気が高まり、現在でも多くの人に愛されています。

美しい色合い

タンザナイトの色合いは非常に魅力的で、見る角度によって青や紫の色合いが変わります。そのため、同じ一つの宝石でも異なる表情を持つことが特徴です。自然光の下では透き通るような美しい群青色に、蛍光灯や白熱灯の下では高貴な紫色に見えることもあります。これにより、ブルーサファイアとの識別がしやすくなっています。過去には、青味が強いものが評価されることもありましたが、現在では多色性が強いほど価値が高いとされており、その変化が評価の基準となっています。

産地と採掘状況

一般的に、タンザニアで採掘されたゾイサイトが特にタンザナイトと呼ばれていますが、最近では他の地域で採掘されたブルーゾイサイトをタンザナイトと呼ぶこともあり、議論が続いています。2020年には、タンザニアの小規模鉱山で採掘された9.2kgと5.8kgの原石が報告され、過去に記録された3.3kgの原石を超える大きさでした。これらの原石は240万ポンドで売却され、現地の鉱山労働者たちの生活に大きな影響を与えています。

注意点と鑑定

タンザナイトはその美しさから多くの宝石商やコレクターに重宝されていますが、近年は模造品や合成品も増加しているため、取引や鑑定の際には十分な注意が必要です。特に、色の濃いものや多色性の強いものであれば、偽物が流通している可能性もあります。信頼できる宝石商やエキスパートの鑑定を受けることが大切です。タンザナイトはその華麗な美しさだけでなく、その歴史や価値にも触れることで、より深く楽しむことができる宝石です。

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