タンノイ

タンノイ（Tannoy Ltd.）とは

タンノイは、1926年にガイ・ルパート・ファウンテンによって設立されたイギリスのスピーカーメーカーです。当初はラジオ関連部品を扱っていましたが、1933年にスピーカー部門に進出。1947年には同軸2ウェイユニット「デュアル・コンセントリック」を開発し、その後の代表的な製品となりました。本社はスコットランドのノース・ラナークシャー・コートブリッジにあります。

社名の由来

社名は、初期の主力製品であった整流器に使用されていたタンタル（Tantalum）と鉛合金（allOY of Lead）を組み合わせた造語です。この二つの素材を繋ぎ合わせた名前が、同社の歴史を物語っています。

歴史

1926年: 前身のタルスメア・マニュファクチュアリングがロンドンで創業。ラジオ関連部品を製造。
1932年: タンノイの商標を登録。社名をガイ・R・ファウンテンに変更。
1933年: スピーカー部門に進出。当初はマグナボックス製のウーファーを使用。
1936年: ウーファーの自社製造を開始。
1947年: 同軸2ウェイユニット「デュアル・コンセントリック」を開発。初代ユニットは「モニターブラック」と呼ばれる。
1953年: アルニコマグネットを採用した15インチユニット「LSU/HF/15」を開発。「モニターシルバー」と通称。このユニットを搭載したスピーカー「オートグラフ」も発売。
1956年: ユニット設計を変更、磁束密度と最大入力を向上。12インチユニットも追加。「モニターレッド」と通称。10インチユニット「III-LZ」も発売。
1958年: シュリロ・トレーディングが日本輸入代理店となる。
1967年: トランジスタアンプ対応のため、ユニットのインピーダンスを16Ωから8Ωに変更。「モニターゴールド」と通称。10インチ版「III-LZG」も発売。
1974年: 工場火災でコーン紙工場が全焼。その後、西ドイツ製コーン紙を使用する新型ユニット「HPDシリーズ」を開発。ガイ・ルパート・ファウンテンが引退し、ハーマン・インターナショナルに会社を売却。
1976年: ティアックが日本輸入代理店となり、本格的に輸入を開始。
1979年: コバルトの価格高騰により、マグネットをアルニコからフェライトに変更。
2002年: デンマークのTCグループの傘下となる。
2015年: TCグループがMusic Tribeに買収され、タンノイもその一員となる。

製品

タンノイの製品は、長年にわたりオーディオ愛好家から支持を集めています。特に、フラッグシップモデルである「オートグラフ」は「いぶし銀のような」と評される独特の音質で知られています。同軸2ウェイユニットを搭載した高級機は、リアルウッドパネルのエンクロージャが特徴です。

一方、ホームシアター向けの「マーキュリー」シリーズや、スタジオモニター向けの「STUDIO」シリーズなど、より安価で一般的な構造のモデルも展開しています。

15インチコアキシャルユニット搭載モデル

オートグラフ (Autograph): 3ホーン式のコーナー設置型スピーカー。小説家の五味康祐が愛用したことでも有名。1974年の火災で製造中止となるも、後にレプリカモデルが生産された。
G.R.F.: オートグラフ同様、複雑なバックローデッドホーンを持つコーナー設置型。小形化が図られている。
レクタンギュラーヨーク (Rectangular York): バスレフ構造の角型フロアスピーカー。
レクタンギュラーG.R.F.: G.R.F.を角型に変更したモデル。
アーデン (Arden): バスレフ構造の大型フロアスピーカー。
アーデンMk-II: アーデンのユニットをフェライトマグネットに変更したモデル。
バークレー (Berkeley): アーデンより一回り小さいバスレフ型フロアスピーカー。
バークレーMk-II: バークレーのユニットをフェライトマグネットに変更したモデル。
GRFメモリー (GRF Memory): 左右の角を落とした特徴的な形状のフロアスピーカー。
ウェストミンスター (Westminster): バックローデッドホーン構造の大型フロアスピーカー。
ウェストミンスター・ロイヤル (Westminster Royal): ウェストミンスターを改良した上位機種。
FSM: 「ファイン・スタジオ・モニター」の意。コアキシャル2ウェイ38cmユニットと38cmウーファー搭載。
インパルス15: 1985年発売。
SYSTEM215: STUDIOシリーズの最上位モデル。15インチ同軸2ウェイユニットと15インチウーファーを搭載。

12インチコアキシャルユニット搭載モデル

チェビオット (Chebiot): バスレフ構造のフロアスピーカー。
デヴォン: バスレフ構造のブックシェルフスピーカー。
エジンバラ (Edinburgh): バスレフ構造のフロアスピーカー。
インパルス12: 1985年発売。
SYSTEM12: STUDIOシリーズ。

10インチコアキシャルユニット搭載モデル

IIILZ (IIILZ in Cabinet): バスレフ構造のブックシェルフスピーカー。後に「チャーヴェニング」と改名。
イートン (Eaton): チャーヴェニングより小さいバスレフ型ブックシェルフスピーカー。
チェスター (Chester): イートンの後継モデル。
SRM10B: 1980年代発売。
スターリング (Stirling): GRFメモリーなどに準じた意匠のブックシェルフスピーカー。
SGM10B: 1980年代発売。
インパルス10: 1985年発売。
スターリングHW: 1986年発売。
スターリングTW: 1992年発売。
スターリングTWW: 1995年発売。
スターリングHE: 1999年発売。
SYSTEM10: STUDIOシリーズ。

8インチコアキシャルユニット搭載モデル

SYSTEM8: STUDIOシリーズ。

5インチコアキシャルユニット搭載モデル

CPA-5: ICT技術を採用した5インチ同軸2ウェイユニット搭載モデル。クロスオーバーネットワークを不要にした独自構造。

一般型スピーカーユニットのみ搭載モデル

オックスフォード: ホーンと29cmウーファー。
SYSTEM2: 2.5cmツイーターと16cmウーファー搭載のブックシェルフ型。
Mercury m1: Mercuryシリーズのエントリーモデル。
Mercury m2: Mercuryシリーズのミドルレンジモデル。

関連事項

タンノイは、高級オーディオの世界で重要な位置を占めています。その製品は、音響機器の進化を語る上で欠かせない存在です。また、長嶋有の小説『タンノイのエジンバラ』では、タンノイ社のスピーカーが重要な役割を演じています。日本での輸入・販売は、ティアックが行っています。

参考文献

隔月刊プロサウンド、2009年2月 / 第149号。
隔月刊プロサウンド、2008年12月 / 第148号。
隔月刊プロサウンド、2004年10月 / 第123号。
隔月刊プロサウンド、2004年6月 / 第121号。
隔月刊プロサウンド、2004年2月 / 第119号。

外部リンク

TANNOY (英語)
TANNOY (代理店：ティアック)
* Brands | Music Tribe

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