ターザン (1999年の映画)

ディズニーアニメーション映画『ターザン』：ジャングルを駆け抜ける感動の物語

1999年にウォルト・ディズニー・カンパニーが製作・公開したアニメーション映画『ターザン』は、エドガー・ライス・バローズの同名小説を原作とする、心温まる冒険物語です。日本では、ディズニー長編アニメーション作品としては最後のレーザーディスク化作品という歴史的な側面も持っています。

物語：ゴリラに育てられた少年の成長と冒険

物語は、アフリカのジャングルで両親を獰猛な豹サボーに殺された人間の赤ん坊から始まります。瀕死の赤ん坊を、慈悲深いメスのゴリラ、カーラが発見し、我が子として育てるのです。カーラの愛情に包まれながら、ターザンと名付けられた少年は、ジャングルの中でたくましく成長していきます。

最初はゴリラの仲間から疎外感を抱きながらも、お調子者のメスのゴリラ、タークや、臆病な象のタントーといった仲間たちと出会い、友情を育んでいきます。彼らは、ターザンがジャングルで生き抜くための知恵と体力を身につけるのを助け、どんなゴリラにも劣らない強靭な青年へと成長する過程を共にします。

ある日、ジャングルに響き渡る銃声。それは、ターザンにとって運命の出会いをもたらす出来事でした。イギリスからゴリラの研究にやってきたジェーン・ポーターとその父、アルキメデス・ポーター教授との出会いです。ジェーンは、美しい容姿だけでなく、心優しく、動物を愛する好奇心旺盛な女性でした。ターザンは、彼女との交流を通して、自分とは異なる「人間」という存在、そして自分自身の出自について初めて知ることになります。

魅力的なキャラクターたち

本作の魅力は、ターザンだけでなく、個性豊かなキャラクターたちが織りなす人間ドラマにもあります。

ターザン: ゴリラに育てられた青年。純粋で勇敢、そして何よりも家族を愛する心優しい青年です。自分の出自を知り、葛藤しながらも、自分自身のアイデンティティを確立していきます。
カーラ: ターザンを育てたメスのゴリラ。母性あふれる愛情で、ターザンを我が子として慈しみ、育て上げます。息子をサボーに奪われた悲しみを乗り越え、ターザンへの愛情を注ぎます。
ジェーン・ポーター: 知的で美しい女性。ターザンに人間の文化を教え、愛情を育みます。
アルキメデス・ポーター教授: ジェーンの父。探検家で、娘思いの優しい人物です。
カーチャック: ゴリラの群れのリーダー。当初はターザンを拒絶しますが、やがて彼の成長を見守り、父としての愛情を示します。
タークとタントー: ターザンの親友であるゴリラと象。それぞれ異なる個性で、ターザンの成長を支えます。
サボー: 凶暴な豹。ターザンの両親やカーラの息子を殺害した、本作の主要な敵役です。
クレイトン: 貪欲なハンター。金銭欲に目がくらみ、ゴリラを捕獲しようと企みます。

音楽とその後

主題歌「You'll Be in My Heart」は、フィル・コリンズが担当し、世界中で大ヒットしました。日本語吹き替え版では、当時20th Century所属の坂本昌行が歌い、ジャニーズ事務所所属タレントがディズニー映画主題歌を担当した最初の事例となりました。

本作は、ディズニー・ルネサンスと呼ばれる黄金時代の最後を飾る作品とされています。その後、ディズニーはCGアニメーションの普及や経営的な迷走を経て、新たな時代へと進んでいきます。続編として『ターザン＆ジェーン』や『ターザン2』が制作され、テレビシリーズ『ターザンの伝説』も放送されました。また、ゲームやディズニーパークのアトラクションにも展開され、世界中で愛される作品となりました。

『ターザン』は、ジャングルを舞台に繰り広げられる感動と興奮、そして友情と愛情の物語です。ゴリラに育てられた青年ターザンの成長と冒険、そして人間との出会いを通して描かれる、忘れられない名作アニメーション映画と言えるでしょう。

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