ターナー・アシュビー

ターナー・アシュビー・ジュニア：南軍の黒騎士

ターナー・アシュビー・ジュニア（1828年10月23日 – 1862年6月6日）は、アメリカ連合国（南軍）の騎兵准将であり、南北戦争においてその名を馳せました。彼は、シェナンドー渓谷での作戦でストーンウォール・ジャクソンの騎兵指揮官として傑出した働きを見せ、もし戦死しなければ、南北戦争で最も有名な騎兵指揮官の一人になった可能性が高い人物です。

生い立ちと初期の経歴

アシュビーは、バージニア州フォーキア郡の「ローズバンク」プランテーションで、ターナー・アシュビー・シニアとドロテア・グリーン夫妻の間に生まれました。幼少期は近くのグース・クリークで水遊びをして過ごし、父の死後は母の手で育てられました。成人後、彼は子供時代を過ごした家の近くに「ウルフズクラッグ」と名付けた家を購入しました。アシュビー家は軍人一家であり、父は米英戦争で大佐、祖父はアメリカ独立戦争で大尉として従軍しています。

アシュビーは家庭で教育を受け、軍隊に入る前は商業と農業に従事し、それなりに成功を収めました。彼は卓越した騎手としても知られており、若い頃には決闘を申し込まれた際、相手が経験の浅いゲストだったため、決闘を拒否したというエピソードも残っています。20代で友人たちと自警団騎兵中隊「マウンテンレンジャーズ」を組織し、これは後にバージニア州民兵隊に吸収されました。ジョン・ブラウンによるハーパーズ・フェリー襲撃事件後、アシュビーはブラウンの裁判と処刑の際に護衛任務に就きました。

政治にも関心を持っていたアシュビーは、州議会選挙に出馬しましたが、少数党であるホイッグ党の支持者であったため落選しました。南北戦争が勃発すると、当初は脱退に反対していたものの、バージニア州が脱退を決定すると、彼は州知事を説得して民兵隊にハーパーズ・フェリーの武器庫を占拠させる命令を出させました。しかし、到着前に北軍が武器庫を焼き払ってしまったため、武器の多くは失われてしまいました。

南北戦争での活躍

ハーパーズ・フェリーで、アシュビーはストーンウォール・ジャクソン大佐の指揮下に入り、ポトマック川の浅瀬や橋を守る任務を与えられました。彼の部隊は、メリーランド州の南軍支持者をバージニア州へ導き、鉄道や運河の運行を妨害しました。1861年6月には、兄弟のリチャードが北軍との交戦で戦死するという悲劇に見舞われ、その死に様から北軍への憎悪を募らせました。

同年7月、アシュビーは第7バージニア騎兵隊の中佐に任命され、連隊長の病気のため実質的に連隊を指揮することになりました。その後、1862年3月12日に正式に連隊長に就任。彼は騎乗砲兵隊「チュー大隊」を組織しました。第一次ブルランの戦いでは、直接の戦闘には参加しなかったものの、ジョンストン軍の移動を遮蔽し、北軍の干渉を防ぐ重要な役割を果たしました。

1862年春、第7バージニア騎兵隊は大規模な部隊となり、ジャクソンはアシュビーの部隊を分割しようとしましたが、アシュビーは辞任をちらつかせてこれを阻止しました。ジャクソンはアシュビーの規律の欠如を理由に准将への昇進をためらっていましたが、1862年5月23日、ついに昇進が決定。彼はその10日後、戦死しました。

アシュビーはその容姿から「南軍の黒騎士」と呼ばれ、常に白馬または黒馬に騎乗していました。シェナンドー渓谷の住人であるトーマス・A・アシュビー（親戚ではない）は、彼と出会った際の様子を書き残しています。

バレー方面作戦と戦死

アシュビーの活発な偵察活動は、ジャクソンのシェナンドー渓谷における作戦の成功に大きく貢献しました。しかし、作戦中には、情報伝達のミスや規律違反も見られました。第一次カーンズタウンの戦いでは、敵の戦力を過少に報告したためジャクソン軍が撤退を余儀なくされ、第一次ウィンチェスターの戦いでは、部隊が略奪に夢中になり、北軍の退却を遮断できなかったことがありました。

1862年6月6日、ジャクソン軍が撤退中に、アシュビーは後衛を務めました。ハリソンバーグ近くで、第1ニュージャージー騎兵隊の攻撃を撃退しましたが、その後の歩兵戦で乗馬を撃たれ、徒歩で突撃した際に心臓を撃ち抜かれて戦死しました。享年33歳でした。最後の言葉は「進め勇敢なる兵士よ！」だったと伝えられています。彼の死は南軍にとって大きな損失でした。

死後の影響

ストーンウォール・ジャクソンは、アシュビーの死を「彼はこの軍にとって、最も勇敢で優秀な指揮官の一人だった」と評しました。アシュビーはバージニア大学墓地に埋葬されましたが、後にウィンチェスターのストーンウォール墓地に、兄弟のリチャードの隣に移葬されました。

バージニア州には、ターナー・アシュビーを記念して名付けられた高校があります。また、メイジャー・アシュビー・ルーダブッシュという人物も、アシュビーが命名したことが由来となっています。アシュビーの死は、南軍にとって大きな損失であり、彼の勇気とリーダーシップは後世まで語り継がれています。

参考文献

Ashby, Thomas A.: Life of Turner Ashby, Morningside House, 1988.
Dupuy, Trevor N., Johnson, Curt, and Bongard, David L., Harper Encyclopedia of Military Biography, Castle Books, 1992, 1st Ed., ISBN 0-7858-0437-4.
Eicher, John H., and Eicher, David J., Civil War High Commands, Stanford University Press, 2001, ISBN 0-8047-3641-3.
Henderson, G.F.R., Stonewall Jackson and the American Civil War, Barnes & Noble, Inc. 2006, ISBN 0-7607-7954-6.
Online biography
Excerpt from The Valley Campaigns: Being the Reminiscences of a Non-Combatant While Between the Lines in the Shenandoah Valley During the War of the States By Thomas A. Ashby
Turner Ashby on Find-A-Grave

外部リンク

Turner Ashby Camp

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