タール色素

タール色素とは

タール色素は、染料や合成着色料の一種で、主に食品、医薬品、化粧品、工業製品などの着色に用いられます。かつてはコールタールを原料としていましたが、現在では石油精製で得られるナフサを基にした化成品から生産されています。アゾ染料がその代表例ですが、天然色素にもタール色素と同様に芳香族化合物から合成されるものがあります。

タール色素の歴史

タール色素という名前は、初期の製法がコールタール由来であったことに由来します。当時は合成染料の代名詞として「タール色素」という言葉が広く使われていました。現在では、アゾ染料以外にも多様な色素が開発されており、合成染料、または合成着色料と呼ばれることが一般的です。しかし、食品添加物として使用される法定色素、特に「食用タール色素」と呼ばれる12種類の食用色素は、今でも「タール色素」と呼ばれることがあります。

多様なタール色素

開発された合成染料は数十万種類にも及びますが、食品や医薬品に使用されるものは安全性が確認されたごく一部に限られます。そのため、複数のタール色素を混合して微妙な色合いを作り出すことがよく行われます。

アゾ色素

アゾ色素は、アゾ基(-N=N-)を持つタール色素の総称です。具体的には、以下の種類があります。

赤色: 赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色201号など多数
黄色: 黄色4号、黄色5号、黄色205号、黄色401号など多数
橙色: 橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色401号など多数

各国での使用状況

タール色素は世界中で使用されていますが、使用可能な色素は各国によって異なります。ポジティブリスト制が採用されているため、国によっては使用実態がない色素もあります。

日本

日本では、食品添加物に使用される色素は、反復投与毒性試験、発がん性試験、変異原性試験で安全性が確認されています。1960年代には、発がん性が発見されたタール色素が相次いで使用禁止となり、タール色素のイメージが悪化しました。そのため、食品用途では天然色素が代替として用いられることが多くなっています。現在、日本では12品目のタール色素が食品添加物として認められています。

欧州

EUでは、一部のタール[色素]]が子供の[[注意欠陥・多動性障害]との関連性が指摘され、自主規制の動きがありました。2008年のEU法改正では、摂取量の見直し、成分表示、および「子供の行動や注意に悪影響を及ぼすかもしれない」という注意文の表示が義務付けられました。

自主規制対象となったタール色素の例:

赤色40号
赤色102号
カルモイシン
黄色4号
黄色5号
* キノリンイエロー

化粧品におけるタール色素

化粧品には食品添加物と比較して多種多様なタール色素が使用されています。日本では、83品目のタール色素が化粧品に使用可能で、口紅には58品目が使用可能です。

注意点

タール色素は便利で多用されていますが、アレルギー反応や健康への影響も懸念されています。使用する際は成分表示を確認し、自己責任において注意することが重要です。

まとめ

タール色素は、その歴史的背景から現代に至るまで様々な分野で使用されてきました。その利便性から広く利用される一方、安全性に関する懸念も存在します。タール色素について正しい知識を持つことが、より安全な製品選択へとつながるでしょう。

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