ダイオウホウズキイカ

ダイオウホウズキイカ

概要

ダイオウホウズキイカ（学名：Mesonychoteuthis hamiltonia）は、巨大なイカの一種で、サメハダホウズキイカ科に属しています。別名「大王酸漿魷」とも呼ばれ、その大きさから世界でも最大級の無脊椎動物として知られています。体長は約12〜14メートルとされ、体重はそれ以上ですが、ダイオウイカと比べると体長が短いという特徴があります。

呼称の由来

属名の‘Mesonychoteuthis’は古代ギリシア語に由来し、「中ほどの獣爪のイカ」という意味を持っており、呼称の中にはその外観に対する特長が示されています。これに対して、関連するその他の名称は異なる種に使われています。

形態的特徴

ダイオウホウズキイカは、体長が最大で20mに達することもあり、成熟した個体の外套膜は250cm、体重は450kgを超えることもあるため、本種の巨大さが伺えます。特徴的な点として、触腕には約5cmに達する大きな回転式の鉤爪を持ち、獲物を捕らえる際や天敵から身を守る手段として利用されると考えられています。また、体色は赤褐色であり、胴体の遊泳鰭が大きいことも見逃せません。これによって、ダイオウホウズキイカは優れた泳ぎ手として深海を漂流しています。

生態と捕食習慣

このイカは南極海の深度2,000mの深海域に生息し、深海の大型イカや魚を主な餌としていると考えられています。特に、ナンキョクオキアミを捕食する生物との共存が見られ、一部のクジラ類の生息域でも生態系の一部を形成しています。しかし、自然な状態でダイオウホウズキイカが観測された例は少なく、その生態の全貌はまだ解明されていません。

捕食の際には、待ち伏せのスタイルで通りかかる獲物を捕らえることが一般的であり、比較的低い代謝率でも生命活動を続けられるため、長期間にわたって少ない餌で生き延びることが可能です。この特性は、体重500kgの個体がわずか5kgの魚で200日間生きられるという研究結果からも確認されています。

繁殖情報

ダイオウホウズキイカの生涯で発見された個体はすべてメスであり、オスは未だに見つかっていないため、その繁殖行為やオスの存在に関する謎が残っています。頭足類の寿命は比較的短いため、数年の間にここまで成長する理由についても未解明の部分が多いとされています。

捕獲と研究の困難性

このイカは捕獲される機会が非常に少なく、研究には多くの課題が伴います。水中で生きる生物であり、陸上での呼吸器官がないため、水から引き上げるとすぐに死んでしまいます。また、急速に腐敗が進むため、捕獲後の研究が難しい状況です。2007年には南極沖でほぼ完全な状態の個体が捕獲され、ニュージーランド国立博物館で展示されていますが、これは非常に貴重な事例です。2014年にも別の個体が捕獲され、さらなる研究が進められているところです。

利用価値

ダイオウホウズキイカの体組織には、浮力を得るための成分が多く含まれており、食用としては適さないのが現状です。また、寒冷な深海に生息しており、人間の生活には直接的な影響を持たない存在とも言えます。

このように、ダイオウホウズキイカは自然界での生態に関する多くの謎を抱える生き物であり、今後の研究が待たれるところです。

もう一度検索