南極海

南極海

南極海（なんきょくかい、英語: Southern Ocean）は、南極大陸を取り囲む海であり、南緯60度以南の地域に広がっています。この海域は、南大洋（なんたいよう）や南氷洋（なんぴょうよう）、南極洋（なんきょくよう）とも呼ばれ、世界で最も南に位置する海洋です。南極海は、太平洋、大西洋、インド洋に次いで、五大洋の中で第4位の広さを誇ります。その面積は約20,327,000平方キロメートルにも及び、最深部はサウスサンドウィッチ海溝南部で水深7,434メートルに達し、平均深度は約4,000メートルです。

地理的特徴

南極海は、南極大陸の周囲を時計回りに囲う形で、ロス[[海]]、アムンゼン[[海]]、ベリングスハウゼン[[海]]、スコシア[[海]]の一部、ウェッデル[[海]]、ラザレフ海、リーセル・ラーセン海、デービス[[海]]などを含んでいます。南太平洋、南大西洋、インド洋南部とも接し、これらの海との明確な地理的境界は存在しません。南極前線は生物分布においての境界線とされており、地理的な南極圏は南緯66度33分以南ですが、これは南極海全体が南極圏に属さないことを示しています。南極海は、3,000万年前に南極大陸と南アメリカ大陸が分離した結果、南極周回流が形成され、他の海洋とは異なる特徴を持つようになりました。

生態系

この海域は水温が低く、塩分濃度が高いため、浅海の生物は南極海と北側の海との間を行き来することが難しくなっています。そのため、独特の環境に適応した生物が進化し、南極特有の生態系が形成されています。特に、南極海の水温は南極前線以北の海域よりも2〜3℃低く、寒冷な環境に生息する生物たちは、他の海洋とは大きく異なる生態系を持っています。

氷山と棚氷

南極大陸の岸は、ほとんどが氷に覆われており、岩石が露出している部分は全体のわずか5%です。13%は氷河、38%は氷床が壁のようにそそり立っており、44%は棚氷から成り立っています。棚氷は南極を覆う氷床がそのまま海に広がったもので、厚みは数十メートルにも達します。これらの棚氷は海に浸食され、やがて氷山が形成されます。

20世紀以降、地球温暖化による影響で棚氷の崩落が観察されています。2000年代には、ラーセン棚氷が崩壊し、南極海における氷の変動が変化してきました。この棚氷の崩壊は、海水温の上昇が大きな要因とされています。

探検史

南極海は歴史上、重要な探検の舞台でもありました。1772年から1775年にかけて、ジェームズ・クックが南極海を周航し、南緯71度10分まで達しました。1820年には、ロシアのファビアン・ゴットリープ・フォン・ベリングスハウゼンや他の探検者たちによって南極大陸が発見され、南極海の探検が本格化しました。以後も、多くの探検家たちがこの海域を訪れ、様々な発見を遂げました。

現在、南極海は観測研究の重要なフィールドとしても注目されています。南極大陸や周辺の島々には、各国の南極観測基地が設置されていますが、永久的に常駐する居住者は存在せず、数年ごとに隊員が交代しています。観測基地の物資は南極海を通じて輸送されるため、港湾は非常に限られています。

現代の利用

南極海はその資源の豊富さも注目され、石油やガス、漁業資源がある一方で、環境保護の観点から慎重な利用が求められています。1961年から漁業が始まり、現在でもアザラシやクジラ、様々な魚介類の漁獲が行われています。

まとめ

南極海は、その独特な生態系、豊かな漁業資源、歴史的探検の舞台としての地位により、学術的、商業的な関心が高まっています。今後もその変化と影響を注視していく必要があります。

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