ダイオメド

ダイオメド：エプソムダービーの英雄とアメリカにおける成功

1777年生まれのダイオメドは、イギリスが生んだサラブレッド競走馬です。彼の名を歴史に刻んだのは、なんといっても1780年、第1回エプソムダービー制覇という偉業でしょう。エプソムダービー創設と同時に開催された記念すべき最初のダービーを制したことは、ダイオメドの競走馬としてのキャリアにおける最高の輝きとなりました。馬主は初代ジョッキークラブ会長を務めたチャールズ・バンベリー準男爵。彼は、第12代ダービー伯爵とダービーの名前の所有権をコイントスで決めたという逸話でも知られています。

ダイオメドの競走成績は華々しいものでした。デビューから7連勝でエプソムダービーを制し、その後も連勝を続け、最終的に10連勝という驚異的な記録を打ち立てます。50ギニーのステークス、ペラムプレート、カタルパとのマッチレース、フォーテスキューステークス、クラレットステークスなど、当時高額賞金とされたレースを次々と勝利しました。

しかし、クラレットステークス後にノッチンガムステークスで初敗北を喫すると、勢いはやや衰え、その後はキングズプレートでの勝利のみとなりました。5歳時、ロイヤルプレート後にハ行を発症したため、競走馬としてのキャリアに幕を閉じます。

引退後のダイオメドは、種牡馬としては当初あまり注目されませんでした。初期の産駒であるグレイダイオメドはクラレットステークスとジョッキークラブプレートを制したものの、それ以降は期待されたほどの活躍はできず、1796年にはわずか50ギニーでアメリカへと渡ります。

アメリカでダイオメドは第二の輝かしい人生を送ることになります。高齢となったダイオメドは、サーアーチーや名牝ハイニーズマリアといった優秀な産駒を送り出しました。特にサーアーチーはアメリカで種牡馬として大成功を収め、その孫であるレキシントンはアメリカリーディングサイアーを16回獲得するなど、アメリカサラブレッドの歴史に大きな足跡を残しました。ダイオメドの血統は、現代のアメリカサラブレッドやクォーターホースにも受け継がれており、その影響は計り知れません。

しかし、ダイオメドの父方直系の子孫は20世紀末にはほとんど途絶えてしまいました。クォーターホース系統に入った子孫も20世紀後半にはその勢力を大きく減らしています。今日では、母系を通してその血統が受け継がれ、現代のサラブレッドに影響を与えていると言えるでしょう。

ダイオメドの主な産駒として、ヤングジャイアンテス（ソーサラーの母）やアメリカ大種牡馬として知られるサーアーチー、そしてハイニーズマリアなどが挙げられます。これらの馬たちが、ダイオメドの血統を未来へと繋ぎ、サラブレッドの歴史に大きな貢献を果たしました。ダイオメドの物語は、競走馬としての華々しい活躍のみならず、種牡馬としての成功、そしてアメリカでの活躍を通して、サラブレッドの歴史に深く刻まれた、まさに伝説的な競走馬の一生と言えるでしょう。

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