ダイトウシロダモ

ダイトウシロダモ（大東白梻）

ダイトウシロダモ（学名：Neolitsea sericea var. argentea）は、クスノキ科シロダモ属に分類される常緑高木です。日本の固有変種であり、沖縄県の大東諸島（北大東島・南大東島）のみに分布しています。

特徴

形態: 常緑高木で、樹高は10mに達します。幹は直立し、暗緑色の小枝を多数分枝させます。
葉: 葉は互生し、長さ2～4cmの葉柄を持ち、小枝の先に束生します。葉身は長楕円形で、長さ7～15cm、先端は鈍く尖っています。3行脈が目立ち、裏面は白色を帯びるのが特徴です。
花: 雌雄異株であり、花期は春です。
果実: 果実は赤色に熟し、基変種であるシロダモよりも大きく、倒卵形で長さ15～18mmです。

生育環境

ダイトウシロダモは、大東諸島の低地の自然林内に生育しています。特に南大東島の大東神社には、ダイトウシロダモが優占する低木林が存在します。

分布

沖縄県の大東諸島（北大東島・南大東島）にのみ分布する固有種です。

保護状況

ダイトウシロダモは、環境省レッドリストで絶滅危惧IB類 (EN)に指定されており、絶滅の危機に瀕しています。これは、生息地の開発や環境変化による個体数の減少が主な原因です。また、沖縄県版レッドデータブックでも準絶滅危惧に指定され、保護の必要性が指摘されています。

ダイトウシロダモの保全に向けて

ダイトウシロダモの保護のためには、以下の取り組みが重要です。

生育地の保全: 自生地である大東諸島の自然環境を保護することが最も重要です。開発行為の抑制や、自然林の適切な管理が必要です。
個体数の増加: 苗木の育成や植栽による個体数の増加が必要です。また、遺伝的多様性を維持するために、異なる場所から種子や苗木を採取することが重要です。
モニタリング: 定期的なモニタリング調査を実施し、個体数や生育状況の変化を把握することが必要です。
啓発活動: ダイトウシロダモの現状や保護の必要性を広く啓発することで、地域住民や観光客の保護意識を高める必要があります。

まとめ

ダイトウシロダモは、大東諸島固有の貴重な植物であり、その保護は地域の自然環境保全において重要な課題です。関係機関や地域住民が協力し、持続可能な保護活動を推進していく必要があります。

参考文献

沖縄県文化環境部自然保護課編 『自然環境の保全に関する指針 沖縄島周辺諸島及び大東諸島』
沖縄県文化環境部自然保護課編 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物（菌類編・植物編）-レッドデータおきなわ-』、2006年。
島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧』 九州大学出版会、1997年。
多和田真淳監修・池原直樹著 『沖縄植物野外活用図鑑 第7巻 シダ植物～まめ科』 新星図書出版、1989年。

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