ダイノソアファクトリー

ダイノソアファクトリーの概要

ダイノソアファクトリー（Dinosaur FACTory）は、東京都江東区のパナソニックセンター東京内にあった恐竜をテーマにした博物館です。この博物館は2002年9月に開館し、2006年5月に閉館するまでの約3年8ヶ月間、来館者に恐竜化石や研究成果を展示し、恐竜の魅力を伝えていました。館内には、モンゴルのゴビ砂漠で発掘された化石を中心に、林原自然科学博物館やモンゴル科学アカデミーの研究成果が多数展示されており、科学者が自然の事実から得た知見や化石の重要性を来館者に伝えることがテーマとされていました。

沿革

ダイノソアファクトリーは、林原グループが博物館開設にあたって行った文化支援活動の一環として誕生しました。当初、林原自然科学博物館の設立に向けての研究活動が行われており、石垣忍と石井健一がモンゴルで恐竜の発掘調査を行っていましたが、博物館設立の道のりは決して簡単ではありませんでした。そのため、2000年からは得られた化石や復元模型を展示する方針が決まり、松下電器産業（現在のパナソニック）との協力を経て、ダイノソアファクトリーが開館する運びとなりました。当時、この館は東京臨海副都心における恐竜展示の中で最大規模を誇りました。

2006年5月14日に閉館した後、博物館の研究・展示事業は林原自然科学博物館に戻り、その後も日本全国での巡回展においてダイノソアファクトリーでの経験が活かされていました。閉館から約3か月後の2006年8月には、同じパナソニックセンター東京内にリスーピアが開設され、科学教育が続けられました。

展示内容

ダイノソアファクトリーの展示は、恐竜化石の単なる標本にとどまらず、研究過程も公開されていたのが特長です。来館者は、化石を母岩から取り出すプレパラボや、化石保管の標本倉庫、研究ドックといったエリアを見学することができました。

• - 標本倉庫: 1階に位置し、組み立て済みの骨格や、運ばれたばかりの化石が保管されていました。
• - ゴビモノリス: 1995年の発掘で得られた化石を石膏で覆った状態で展示していました。
• - プレパラボ: 3階にあり、母岩から化石が取り出され、クリーニングを受ける過程を見学できました。
• - 研究ドック: 3階には8箇所のドックがあり、それぞれが研究中の標本や関連メモを公開しています。
• - D.I.G.: 娯楽室のような役割を持ちながら、様々な化石標本や発掘道具が展示されていました。特に、直接触れることのできる化石もあり、訪問者の参加を促すスタイルが特徴的でした。

このように、発掘から展示までの過程を視覚的に体験できる形式は、ダイノソアファクトリーの後続の巡回展にも引き継がれ、高い評価を受けました。また、2013年には、その研究事業が岡山理科大学に移管され、恐竜学博物館が開設されるなど、ダイノソアファクトリーの影響は今も続いています。

主な展示物

ダイノソアファクトリーでは、以下のような主な展示物がありました:

• - ステゴサウルス全身骨格
• - ティラノサウルス全身骨格
• - ブラキオサウルス全身骨格
• - サウロロフス産状化石
• - プロトケラトプス産状化石
• - ゴビハドロス頭骨模型
• - コリトサウルス
• - タルボサウルス
• - トリケラトプス

これらの化石は、恐竜の生態や進化の理解を深めるための貴重な資料となっていました。

技術の利用

ダイノソアファクトリーは、未来のユビキタス社会を展望し、当時の最新技術となるBluetooth、携帯情報端末、インターネットを活用していました。来館者には入場時に携帯情報端末（FACTスコープ）が渡され、館内の展示物に関する音声や画像情報を得ることができるようになっていました。この試みは、来館者が能動的に学習することを目的としており、展示物の解説パネルが存在しないのもそのためでした。

公式ウェブサイトでは、展覧会の各所でのライブ映像が配信され、会員登録をすることで、メンバーページが用意されており、訪問しなくても自宅や学校での学習ができる仕組みが整えられていました。

評価

ダイノソアファクトリーは、その取り組みに対して高く評価されました。2011年、日本古生物学会の当時の会長であった加瀬友喜が、林原自然科学博物館の研究成果を活用した展覧会の一つに挙げ、オリジナリティと学習効果の高い内容だと評価しました。また、全国科学博物館協議会理事長の近藤信司も、その展示手法の先進性を認めていました。

余談

ダイノソアファクトリーは、2003年に放送された特撮番組『爆竜戦隊アバレンジャー』のロケ地としても知られています。この番組の第1話冒頭では、ティラノサウルスの全身骨格が展示されているシーンが描かれています。これは、多くの視聴者に恐竜の興味を喚起する一助となったことでしょう。

このように、ダイノソアファクトリーはその短い存続期間の中で、恐竜に関する理解を深め、多くの来館者に学びの機会を提供した博物館でした。

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