ダイハツ・ミライース

ダイハツ・ミライース：環境性能と経済性を両立した軽自動車の進化

軽自動車市場において、環境性能と経済性を両立させたモデルとして高い人気を誇るダイハツ・ミライース。本記事では、初代モデルから2代目モデルまで、その開発コンセプト、技術革新、販売戦略、そしてOEM供給など多角的な視点から詳細に解説します。

コンセプトカー「イース」から生まれた「第3のエコカー」

ミライースは、2009年に発表されたコンセプトカー「イース」をベースに開発されました。環境意識の高まりと低価格志向の需要を取り込み、「誰もが気軽に乗れる第3のエコカー」というコンセプトを掲げています。わずか11ヶ月という短期間での製品化は、ダイハツの開発体制における大きな成功体験となりました。

初代ミライース（LA300S/310S）：革新的なe:Sテクノロジー

2011年から2017年まで販売された初代ミライースは、「e:Sテクノロジー」と名付けられた革新的な技術によって、従来モデルと比較して40%もの燃費性能向上を実現しました。この技術革新は、エンジン、トランスミッション、ボディ構造の徹底的な見直しによって達成されました。

e:Sテクノロジーの具体的な取り組みとしては以下が挙げられます。

エンジン：圧縮比の向上、インジェクター噴霧微粒化、i-EGRシステムの採用による燃焼効率の向上とメカニカルロス低減、電子スロットルによる協調制御による最適な状態維持
CVT：オイルポンプの高効率化、CVT制御圧の低圧化による動力伝達効率向上、変速ギア比の最適化によるエンジン負荷低減
ボディ：シェルボディの骨格合理化、樹脂部品・内装部品の軽量化による約60kgの軽量化、空気抵抗と転がり抵抗の低減
アイリングストップ機構「eco IDLE」：世界初の停車前アイドリングストップ機能追加による燃費向上と軽量化

これらの技術革新と徹底的なコスト削減活動により、車両本体価格は79.5万円から122.0万円と、経済性にも優れたモデルとなりました。初代ミライースは発売以来19万台以上の販売を記録し、ミラシリーズ全体の販売を牽引しました。2012年には軽自動車部門で販売台数首位を獲得するなど、大きな成功を収めました。

グレード体系と進化

初代ミライースは、廉価グレード「D」から上級グレード「G」まで、多様なグレード体系を展開。定期的な改良や特別仕様車の発売を通して、安全性能や快適性を向上させました。「スマアシ」などの衝突回避支援システムの導入も、時代のニーズに応える取り組みでした。

2代目ミライース（LA350S/360S）：さらなる軽量化と安全性能の向上

2017年にフルモデルチェンジされた2代目ミライースは、「新・みんなのエコカー」をキャッチコピーに、初代モデルをさらに進化させました。「Dモノコック」ボディ構造の採用による軽量高剛性化、空力性能の向上、そして「スマアシIII」への進化によって、安全性能と燃費性能を大幅に向上させました。

2代目ミライースの主な特徴

最大80kgの軽量化（初代比）
空力性能の向上（Cd値0.32）
「スマアシIII」搭載：ステレオカメラ方式による衝突回避支援ブレーキ機能（対歩行者対応）
軽自動車初となるコーナーセンサー（「スマアシIII」搭載グレード）
* ビジネス向けグレード「B」の設定

グレード体系は初代モデルから変更され、「B」グレードから「G」グレードまで、幅広いニーズに対応した設定となりました。また、OEM供給車種として、トヨタ・ピクシスエポック、スバル・プレオプラスが継続して提供されました。

ミライースの成功要因：環境性能、経済性、そして多様なニーズへの対応

ミライースの成功は、環境性能と経済性の両立、そして多様なユーザーニーズへの対応という3つの要素によると考えられます。低燃費性能と低価格という魅力的な組み合わせは、多くのユーザーを惹きつけました。また、多様なグレード設定と継続的な改良により、幅広いユーザー層をカバーすることに成功しました。

まとめ

ミライースは、ダイハツの技術力と市場ニーズを的確に捉えた好例と言えるでしょう。環境性能と経済性を両立させ、かつユーザーの多様なニーズに対応することで、軽自動車市場において確固たる地位を築きました。今後の進化にも期待が高まります。

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