ダイハツ・ムーヴコンテ

ムーヴ コンテ：個性的な軽トールワゴンとそのマスコットキャラクター

2008年から2016年まで、ダイハツ工業が製造販売していた軽トールワゴン、ムーヴ コンテ。4代目ムーヴの派生車種として登場したこの車は、標準モデルとは異なる直線的で平面的なデザインが大きな特徴でした。室内空間は、後席のシートスライド機能などを省略する代わりに、前席にパワーエントリーシートを採用するなど、快適性と高級感を追求した設計となっています。

特徴的なデザインと室内空間

ムーヴ コンテの最大の特徴は、その直線的なエクステリアです。標準的なムーヴとは一線を画す、角ばったフォルムは、当時としては斬新なデザインでした。インテリアも、直線基調のインパネや、パイピングを施したシートなど、快適で上質な空間を演出しています。特に前席は、ゆったりとくつろげる空間を目指しており、運転手や同乗者の快適性を重視した設計が見て取れます。一方、後席はスライド機構や多段階のリクライニング機構は省略され、シンプルながらも機能的な設計となっています。

マスコットキャラクター「カクカク・シカジカ」

ムーヴ コンテは、自動車としては非常に珍しい試みとして、デビュー時からマスコットキャラクター「カクカク・シカジカ」（略称：カクシカ）を用いたプロモーションを展開しました。黒縁眼鏡をかけたシカの姿をしたこのキャラクターは、生瀬勝久さん（初代）や津田健次郎さん（2代目）といった著名な声優が声を担当し、多くのCMや広告に登場しました。その親しみやすいキャラクター性は、コンテの知名度向上に大きく貢献したと言えるでしょう。カクシカはコンテのキャンペーンだけでなく、ダイハツの他のキャンペーンにも登場するようになり、企業のマスコットキャラクターとしての地位も確立していきました。

販売期間とモデルチェンジ

ムーヴ コンテは2008年8月25日に発売開始。発売当初から、標準モデルの「コンテ」と、よりスポーティなカスタムモデルの「コンテカスタム」の2種類が用意されていました。販売期間中には、いくつかのマイナーチェンジや特別仕様車が発売されました。マイナーチェンジでは、エンジンの改良による燃費向上や、安全装備の追加などが行われています。また、特別仕様車では、専用のアルミホイールやインテリア、ボディカラーなどが設定され、ユーザーの多様なニーズに対応していました。2016年12月末にオーダーストップとなり、2017年3月31日に販売が終了しました。一度もフルモデルチェンジされることなく、約9年間の販売期間を終えました。

OEM供給とトヨタ・ピクシススペース

2011年9月26日、ダイハツはトヨタ自動車にムーヴ コンテをOEM供給することを発表し、「ピクシス スペース」として販売されました。ピクシス スペースは、コンテの上級グレードを除く複数のグレードが設定され、ダイハツのアイドリングストップ機構「eco IDLE」もそのまま採用されました。

車名と名の由来

「コンテ」という車名は、"Community"（共同体）や"Comfortable Interior"（快適な室内）の略称として名付けられました。これは、ムーヴ コンテが、人々の生活を豊かにし、快適な移動空間を提供することを目指していることを示しています。また、イタリア語で「あなたと」という意味を持つ「conte」という言葉も含まれており、ユーザーとの繋がりを重視したネーミングと言えるでしょう。

まとめ

ムーヴ コンテは、独特のデザインと快適な室内空間、そして愛らしいマスコットキャラクター「カクカク・シカジカ」によって、多くのユーザーから支持された軽トールワゴンでした。販売終了後も、カクシカはダイハツのCMなどで活躍を続け、ブランドイメージの向上に貢献しています。ムーヴ コンテは、時代の変化の中で、軽自動車市場に独自の個性と魅力を残したモデルとして記憶されています。

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