ダイハツ・メビウス

ダイハツ・メビウス：環境性能と広さを両立したステーションワゴン

ダイハツ工業が販売し、トヨタ自動車が生産した「メビウス」は、ハイブリッド専用ステーションワゴンとして2013年4月から2021年3月まで販売されました。トヨタとダイハツの環境技術協業の一環として誕生したメビウスは、トヨタ・プリウスαをベースに開発されており、プリウスαの姉妹車と言えるモデルです。

ダイハツは、2012年にトヨタからOEM供給を受ける形で乗用ハイブリッドカーの販売を開始しました。メビウスはその2車種目となり、同社初のハイブリッド乗用車であるアルティスに続くモデルとして注目を集めました。

メビウスの特長

メビウスの最大の特徴は、プリウスαをベースとしながらも、ダイハツ独自の個性を取り入れている点です。エクステリアは、ダイハツのブランドイメージに合わせたデザインを採用し、プリウスαとは異なる洗練されたスタイルを実現しています。インテリアも、乗員が快適に過ごせるように工夫が凝らされており、広々とした室内空間と優れた使い勝手を両立しています。

グレード体系は、2列シートの5人乗り仕様のみで、「S」、「S Lセレクション」、「S ツーリングセレクション」の3タイプが用意されました。プリウスαにある7人乗り仕様や上級グレードである「G」系グレードは設定されていませんでした。装備面では、プリウスαと同等の高いレベルを維持しており、HDDナビゲーションシステムやスーパーライブサウンドシステムなどのオプションも用意されていました。

モデルライフと改良

発売後、メビウスは何度かの改良を受けました。2014年のマイナーチェンジでは、フロントグリルやバンパー、リアコンビランプのデザインを変更し、Bi-Beam LEDヘッドランプをオプション設定するなど、外観と装備を刷新しました。内装もセンターメーターやセンタークラスターなどが変更され、より洗練された空間を実現しています。

2017年には、トヨタの衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を標準装備とするなど、安全性能も向上しました。2020年にはWLTCモードへの燃料消費率の変更や排出ガス基準への対応、ボディカラーの変更などが行われました。

生産終了とその後

2021年2月、メビウスは生産終了となり、同年3月には販売も終了しました。これはOEM供給元のプリウスαの生産終了に先行するものでした。メビウスの販売終了により、ダイハツからステーションワゴンが姿を消すこととなり、以後はアルティスに集約されることになりました。

車名由来

メビウスという車名は、ドイツ語の「Möbius（メビウスの輪）」に由来しています。メビウスの輪は無限に続く輪を意味し、低燃費と広い室内空間でどこまでも走れる車のイメージを表しています。

まとめ

ダイハツ・メビウスは、トヨタとの協業によって生まれた、環境性能と使い勝手を両立したステーションワゴンでした。ダイハツのハイブリッド技術の進化を示すモデルとして、そしてステーションワゴンというボディタイプへの挑戦として、自動車史にその名を刻みました。その存在は、ダイハツが環境性能と快適性を両立した車両開発に力を入れていたことを示す、重要な証左と言えます。販売終了後も、その存在感は、多くのユーザーの記憶に残り続けることでしょう。

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