ダイヤモンド・プリンセス (客船)

ダイヤモンド・プリンセス：豪華客船と2020年の出来事

ダイヤモンド・プリンセスは、イギリスのP&Oクルーズ社が所有し、アメリカのプリンセス・クルーズ社が運航する大型クルーズ客船です。カーニバル・コーポレーション傘下のプリンセス・クルーズ社は、姉妹船サファイア・プリンセスと共に、この豪華客船を世界各地に運航しています。

船内設備と特徴

総客室数は1337室。そのうち約72%がオーシャンビュー、約56%が専用バルコニー付きです。バリアフリー対応の客室も29室あり、快適な船旅をサポートしています。乗客の多様なニーズに対応するため、7つのレストランが用意されており、24時間営業のレストランもあります。環境保護にも配慮し、アラスカ湾など環境規制の厳しい海域でも運航できるよう、ガスタービン発電機や最新の排水処理システムを搭載しています。日本市場向けに大規模改修が行われ、展望浴場や寿司バーなども新設されています。船籍はイギリスのロンドンに変更され、船体前方にはプリンセスのロゴマーク「シーウィッチ」が描かれています。近年では、日本人観光客向けの日本発着クルーズを主に担当しています。

パワフルな機械装備

ダイヤモンド・プリンセスは、4基のディーゼル発電機と1基のガスタービン発電機を備えています。ディーゼル発電機は、9,500kWと8,500kWの出力を持ち、C重油を燃料として使用します。ガスタービン発電機はゼネラル・エレクトリック社のLM2500で、軍艦にも使われている高出力エンジンです。最大25,000kWの出力を誇りますが、発電コストが高いため、主にアラスカなど排ガス規制の厳しい海域での使用を目的としています。着岸用設備として、電気モーター駆動のプロペラと6台のスラスターも搭載しており、正確な操船を可能にしています。

建造と歴史

ダイヤモンド・プリンセスは当初「サファイア・プリンセス」として建造が始まりましたが、三菱重工業長崎造船所において、建造中の火災事故により、姉妹船の建造途中の船体を「ダイヤモンド・プリンセス」として完成させることとなりました。このため、2隻の船はほぼ同時に建造されたものの、竣工時期は異なっています。2004年2月、当初予定から7ヶ月遅れて竣工し、その後、世界各地を運航しています。

2020年の新型コロナウイルス集団感染

2020年2月、ダイヤモンド・プリンセスで新型コロナウイルスの集団感染が発生しました。横浜港で長期の検疫体制が敷かれ、多数の乗客・乗員が感染する事態となりました。この事件は、世界的なパンデミックの初期段階における重要な出来事として記憶されています。乗客の帰国問題や、船内での感染拡大防止対策など、様々な問題が表面化しました。船内での感染対策、乗客の支援、除染作業など、多大な努力が払われたのち、乗客・乗員は全員下船しました。

その後

感染拡大後、ダイヤモンド・プリンセスは除染作業を経て、一時的に運航を停止しましたが、2023年3月には3年ぶりに神戸港に入港。国際クルーズ船の国内受け入れ再開後、再び日本の港に姿を現わし、その後も運航を続けています。しかし2023年5月には、長崎市沖で水先案内人が転落死亡するという事故も発生しており、安全対策の重要性を改めて認識させられました。ダイヤモンド・プリンセスは、豪華客船としての輝かしい歴史と共に、2020年の出来事によって記憶される船となりました。

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