ダウントン・アビー (映画)

ダウントン・アビー

『ダウントン・アビー』は2019年に公開されたイギリス・アメリカ合作の歴史劇映画で、マイケル・エングラーが監督し、ジュリアン・フェロウズが脚本を担当しています。この映画は、2010年から2015年までITVで放送された同名のテレビシリーズの続編で、同作に出演していたヒュー・ボネヴィルやローラ・カーマイケル、ミシェル・ドッカリーなど多彩なキャストが再び登場します。

ストーリー概要

物語は1927年、イギリス国王ジョージ5世とメアリー王妃の訪問がダウントン・アビーで行われるというニュースから始まります。主人公のロバートとコーラ・グランサム伯爵夫妻は、王室の一行が訪れることにわくわくしますが、ロバートの母であった前グランサム伯爵夫人・バイオレットも、王妃の侍女の一人であるレディ・モード・バグショーの登場によって、かつての敵との対面を余儀なくされます。

伯爵家の使用人たちは、王室使用人たちを見下し、国王夫妻の世話を独占しようとします。この状況に対抗すべく、長女メアリーは、以前の執事であるカーソンを一時的に復帰させる選択をします。その一方、世話役として派遣された王室の担当者とダウントンの使用人たちの間での葛藤も描かれます。特に、クローリー家にとって不可欠な人物であるメアリーの存在感が際立つ場面が多く、彼女を中心に物語が展開されます。

また、国王訪問の際に村の警察とも関係があるチェトウッド少佐が登場し、劇的な展開を生み出します。彼はトム・ブランソンとしばしば対立し、トムがチェトウッドを誤解するシーンは、映画全体の緊迫感を高める要素となっています。2人の関係は、この作品を通じて丁寧に描かれ、多くの視聴者に強い印象を残しました。

国王夫妻の滞在中には、クローリー家の長女メアリー、次女イーディス、そして国王の娘であるメアリー王女との間での交流も重要な見どころの一つです。茶会でのやり取りは、王室との関係が徐々に明らかになり、登場人物たちの葛藤や成長が見える仕掛けになっています。

製作背景と評価

映画化のアイデアは、テレビシリーズの終了およそ2年後に出てきたもので、ジュリアン・フェロウズが物語を練り直していく過程で、オリジナルキャストも再集結しました。2018年には主要撮影が始まり、各所で撮影が行われました。公開に向け、多大な期待が寄せられ、イギリスを皮切りにアメリカ、日本などでも展開されました。

映画は多くの批評家たちから良好な評価を受け、Rotten Tomatoesでは83%の支持率を示しています。一方、Metacriticでは60/100の加重平均値が記録されています。そのため、ファンや新たな視聴者からも注目され、シリーズの魅力を再確認させる作品として位置づけられています。

本作の中で交わされる言葉やジェスチャーは、歴史的な背景を持ちつつも、現代の観点からも真実味を持っています。『ダウントン・アビー』は、ただの歴史劇ではなく、家族の絆や社会階層の移り変わりをも映し出す深いテーマを秘めています。

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