ダカール・ニジェール鉄道

ダカール・ニジェール鉄道の概要

ダカール・ニジェール鉄道（Chemin de fer Dakar-Niger）は、西アフリカのダカール（セネガル）とクリコロ（マリ）を結ぶ重要な鉄道路線です。この路線は全長1287kmで、その内訳として641kmがマリ側に位置しています。名前の「ニジェール」はニジェール共和国を示すのではなく、ニジェール川を指しています。

歴史的背景

この鉄道路線の建設は、19世紀の終わり頃にフランス領スーダン総督のジョゼフ・ガリエニによって提案されました。内陸部で生産された原料を運ぶため、ニジェール川との物流ルートを結びつけることを目指しました。1905年にクリコロからアンビデディまでの区間が開通した後、1915年にはダカールからンジュルベルまで、そして1925年にはダカールとクリコロ間が繋がりました。

1947年には、鉄道労働者がフランス人労働者と同等の権利を求めてストライキを行い、それが数ヶ月にわたり続きました。この出来事はセネガル人作家センベーヌ・ウスマンによる小説『神の森の木々』に描かれ、フランスの植民地経営の過酷さを訴えました。この作品は1960年に出版され、社会への大きな影響を持ちました。

1960年にマリ連邦（後のセネガルとマリ）がフランスから独立しましたが、そのすぐ後には分裂し、両国間の緊張関係が生まれました。ダカール・ニジェール鉄道は1962年に国営のマリ鉄道とセネガル鉄道に分割されました。この影響で、独立前の年間貨物輸送量が約80万トンから一時期3万トンに減少しました。90年代に入っても、独立前のレベルには戻ることができませんでした。

運営管理

管理面での問題や投資不足により、この鉄道インフラは劣化し、運行の遅延が頻発しました。2003年からは、セネガルとマリの両国がフランスとカナダの企業によるコンソーシアム、Transrail SAに運営を委託しました。このコンソーシアムは資本金の51%をカナダの投資会社が占め、残りは両国の政府や従業員、個人投資家によって構成されていました。

しかし、Transrailは旅客輸送の維持が義務であったにもかかわらず、貨物輸送に注力したため、利用者に不便をもたらす結果となりました。3分の2の駅が閉鎖され、接続便も減少し、地域の孤立が進行しました。2007年、Transrailはベルギーの企業Vecturisに買収されましたが、その後も社会環境の悪化やストライキが続きました。2012年には、運行が停止しました。

改修計画

2015年、両国は新たに標準軌でバマコとダカール間の路線を再建する契約を中国の鉄建と結びました。しかし、工事はマリ国内の治安問題の影響を受け、大幅に遅れてしまいました。2019年に行われたマリ、セネガル、世界銀行による三者会談では、今後の作業工程の確認が行われました。

現在の運行状況

マリのクリコロ以遠への路線建設は未だ行われておらず、現在のダカールからクリコロ間は約29時間の旅が必要です。また、ダカールとバマコを結ぶ国際列車が週に1回運行されており、この列車はかつてフランス国鉄で使用されていた「ル・ミストラル」の客車を利用しています。

その他の情報

この鉄道は、日本のテレビ番組「世界の車窓から」に取り上げられており、その映像はDVD化されています。貴重な映像資料として多くの人々に親しまれています。

まとめ

ダカール・ニジェール鉄道は、その歴史的な背景や現在の運営状況において、地域経済や人々の生活に深く関わっています。今後の改善が期待される中、この鉄道は西アフリカの重要な交通路としての役割を果たし続ける必要があります。

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