マリ連邦

マリ連邦：短命に終わった連邦国家

マリ連邦（フランス語: Fédération du Mali）は、1959年4月4日に成立した連邦国家です。フランス領西アフリカの一部であったスーダン共和国（現在のマリ共和国）とセネガル共和国が合併し、翌1960年6月20日にフランスから独立しました。しかし、同年8月20日にセネガルが分離独立し、残った旧スーダン共和国も同年9月22日にあらためてマリ共和国として独立したために消滅しました。独立国としてはわずか2ヶ月しか存在しなかった短命国家です。

大統領にはモディボ・ケイタ、議会議長にはレオポール・セダール・サンゴールが就任しました。

マリ連邦の成立

1958年末までに、仏領西アフリカ各国がフランス共同体へ加盟すると、汎アフリカ主義者らは完全独立と連邦の創設を構想しました。1959年1月17日、「マリ連邦憲法」が承認されます。しかし、コートジボワール、オートボルタ（現ブルキナファソ）、ダオメー（現ベナン）が連邦への参加を見送りました。

1959年4月4日、スーダン共和国とセネガル共和国の共同体としてマリ連邦が結成されました。1959年12月にフランスからの独立を実質的に承認され、1960年6月20日に正式に独立を果たしました。

マリ連邦の消滅

しかし、スーダン共和国とセネガル共和国の間には、徐々に思考の違いから関係が悪化していき、ついには衝突が始まりました。人口と面積においてはスーダンがセネガルを圧倒していましたが、経済力ではセネガルがはるかに豊かでした。ケイタ大統領は、セネガルの資金を使ってスーダンの開発を進め、連邦全体の底上げを図ろうとしましたが、これはセネガルにとって植民地時代よりも負担が重いものでした。

その後も両国の関係は悪化の一途をたどり、1960年8月20日にセネガルが分離独立しました。残されたスーダン共和国は同年9月22日にマリ共和国に改称し、マリ連邦は消滅しました。マリ共和国は「アフリカ統一のためなら主権の一部もしくは全てを放棄する」と規定した憲法を採択しましたが、皮肉にもその第一歩となるべきマリ連邦は短命に終わりました。

なお、マリとセネガルはその後対立しましたが、1966年に和解しています。

国旗について

マリ連邦の国旗中央にある棒人間のようなものは、現地の儀式で使う仮面『カナガマスク』という。また、この国旗のカナガマスクは上下が反転しています。
フランス領スーダンの旗にもカナガのイメージが用いられました。

参考文献
内藤陽介『マリ近現代史』（初版）彩流社、2013年5月5日。ISBN 978-4779118883

外部リンク
消滅した国々-マリ連邦 | SilkRoad-Lake - ウェイバックマシン
* 佐藤章『第4章 失われた連帯の痕跡を求めて――植民地期コートジボワールにおける独立運動とイスラーム――』日本貿易振興機構アジア経済研究所〈サハラ以南アフリカの国家と政治のなかのイスラーム――歴史と現在――〉

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