ダコタ・ハウス

ダコタ・ハウスについて

ダコタ・ハウス（The Dakota）は、アメリカ・ニューヨーク市のマンハッタン区アッパー・ウエスト・サイドに位置する高級集合住宅です。この建物は1880年に着工され、1884年に竣工しました。特に有名な点として、ビートルズのジョン・レノンが1980年12月にここで殺害された場所として知られています。

名称の由来

「ダコタ」という名称については様々な説があります。一つは、建設時のアッパー・ウエスト・サイドがまだ住宅が少なかったため、まるでダコタ準州のようだったからという説です。別の説では、発注者のエドワード・クラークがダコタ準州を好んでいたため、名付けられたとされています。また、日本語では「ダコタ・ハウス」として知られていますが、現地では異なる呼称は使われていません。

立地とアクセス

ダコタ・ハウスは、マンハッタン区の主要道であるセントラル・パーク・ウェストと、72丁目および73丁目に挟まれた角地に位置しています。近隣には「ホテル・オルコット」があり、セントラル・パークへのアクセスも非常に便利です。最寄りの地下鉄B/C線の72丁目駅からはすぐの距離で、待機する警備員によって住民以外の立ち入りが制限されています。

歴史的背景

この建物は、シンガーミシン社の社長であるエドワード・クラークがヘンリー・J・ハーデンバーフに設計を依頼して建設されました。マンハッタンにおいてアパートメント形式の住宅が着工されたのは当時2番目であり、歴史的にも重要な建物とされています。1972年にはアメリカ合衆国国家歴史登録財に選ばれ、1976年には国定歴史建造物に指定されました。

入居審査は非常に厳格で、ただ資産や収入が多いだけでは入居できないとされています。有名なアーティストやクリエーターであるビリー・ジョエル、シェール、マドンナなどが入居を拒否されたこともあります。特に人種差別に関する訴訟も起きた経歴があり、多様な問題を抱えている建物でもあります。

建物の特徴

構造とデザイン

ダコタ・ハウスは「ロ」字型の構造を持ち、その中央には噴水がある広い中庭が特徴です。建設時の総戸数は65戸で、地上10階建てになっています。屋根は鋭角で、多数の小窓が散りばめられ、北ドイツルネサンス様式の特徴が見られます。内装にはフランス・バロック様式が取り入れられており、高い天井と独特なデザインが施されています。

先進的な設備

当初から館内には自家発電装置があり、セントラルヒーティングを備えているなど、当時としては画期的な設備が整っていました。

ジョン・レノンの影響

ジョン・レノンは1973年にダコタ・ハウスに転居し、数戸を所有していましたが、1980年にここで悲劇に見舞われました。レノンの日常を偲ぶ場所として、近くのセントラル・パーク内には「ストロベリー・フィールズ」が作られており、彼の楽曲にインスパイアされた平和のシンボルが存在します。レノンの死後も彼の妻ヨーコ・オノはダコタに住み続け、毎年の住民の集まりには彼の好物が持ち込まれていました。

文化的な存在感

ダコタ・ハウスは、映画や小説などでも取り上げられ、多くの著名人が住んできたことでも知られています。特にジョン・レノンやオノ・ヨーコは多くの人々に影響を与え、その存在感は今も衰えていません。近年は入居に関する厳しい基準が報じられていますが、ダコタ・ハウスは今もなお、特別な場所として存在し続けています。

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