ダサい

ダサい

「ダサい」とは、「恰好悪い」「野暮ったい」「垢抜けない」といった意味合いを持つ俗語です。1970年代前半に関東地方の若者の間で使われ始め、若者言葉として定着しました。

語源

語源には諸説あり、特定は困難です。

西日本の方言「どんくさい」から転じたという説
田舎を意味する「だしゃ」を形容詞化した「だしゃい」が変化したという説
「無駄臭い」が変化したという説
漫画の台詞から広まったとする説
* 「だって埼玉だから」という蔑称が短縮されたとする説

これらの語源説について、確たる証拠はなく、語感や音感から生まれた言葉である可能性も指摘されています。

広まった背景

1970年代、従来の価値観が変化し、利己主義的な価値観が広まりました。男性が学生運動の挫折から無関心を装う一方で、女性の社会進出が活発化し、消費の中心として注目されるようになりました。若者言葉も変化し、女性が主導する「ノリ重視」の言葉が生まれ、その象徴として「ダサい」という言葉が使われるようになったとされています。

関東地方で「ダサい」という言葉が広まった背景には、人々の「見栄」があるという指摘もあります。関西人が「おもろい」ことを重視するのに対し、関東人は周囲から「かっこいい」と思われることを重視する傾向にあります。そのため、東京から発信される「都会的」「洗練された」情報に追随し、「ダサい」と評価されることを極端に恐れるあまり、地方出身者を揶揄することで優位性を保とうとする心理が働いたと考えられています。タレントのタモリが「ダ埼玉」という言葉を流行させたことも、その一例です。

意味合いの変化

当初は単純に「かっこ悪い」という意味合いで使用されていましたが、時代とともに意味合いが変化してきました。1975年の時点では「イモ・田舎者」の意味で使用されていました。

類義語・派生語

類義語としては、「いも」「いも臭い」「へぼい」などがあります。

派生語としては、「ダサかっこいい」があります。「ダサかっこいい」は、一見するとダサく見えるけれど、どこかかっこいいという意味で、平田満や柄本明のような俳優を形容する際に用いられました。近年では、DA PUMPの「U.S.A.」を評価する際にも用いられるなど、2010年代以降も定着しています。その他、「ダサダサ」「ダサかわ」などの言葉も生まれました。

「ダサい」という言葉は、時代や社会の変化とともに意味合いを変化させながら、現代でも使われ続けています。

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