ダスク (ザ・ザのアルバム)

『ダスク』（Dusk）は、イギリスのロックバンド、ザ・ザが1993年1月に発表した4作目のスタジオアルバムです。キーボーディストのD.C.コラードが正式加入し、5人編成のバンドとして制作されました。しかし、ドラマーのデヴィッド・パーマーが制作中に解雇され、一部の楽曲ではヴィニー・カリウタやブルース・スミスがドラムを担当しました。

中心人物であるマット・ジョンソンは、本作について「ライブレコーディングを中心としたバンド的な録音状況だったにもかかわらず、バンドとしての一体感は失われていた」と振り返っています。また、「自信作の一つだ。皆が素晴らしい仕事をしてくれたが、ツアーに出る頃にはバンドは崩壊していた」とも語っており、制作過程でのバンド内の複雑な状況が窺えます。

アルバムは全英アルバムチャートで最高2位を記録し、ザ・ザのアルバムとしては最高位となりました。ニュージーランドでは6位、ノルウェーでは10位を記録するなど、国際的にも高い評価を受けました。特にノルウェーでは、1987年の『インフェクテッド』以来となるアルバムチャート入りであり、初のトップ10アルバムとなりました。

音楽評論家のサム・サミュエルソンは、AllMusicで本作に5点満点中4点をつけ、「以前のアルバムの枠組みであったダンスビートを捨て、暖色系の熱気に満ちた生のリズムに置き換えた」と評しています。これにより、従来のザ・ザの音楽性とは異なる、新たなサウンドの可能性を示唆する作品となりました。

収録曲は全曲マット・ジョンソンによって作詞作曲されました。

1. 真の幸福はそうして見い出される "True Happiness This Way Lies"
2. 愛は死よりも強し "Love Is Stronger Than Death"
3. 欲望の犬ども "Dogs of Lust"
4. 夜の訪れ "This Is the Night"
5. 前世のスロー再生 "Slow Emotion Replay"
6. 電話相談員 "Helpline Operator"
7. ナトリウム光の恋人 "Sodium Light Baby"
8. 君の吐息 "Lung Shadows"
9. 真夜中の亡霊 "Bluer Than Midnight"
10. 孤独な惑星 "Lonely Planet"

参加ミュージシャンとして、マット・ジョンソン（ボーカル、ギター、メロディカなど）、ジョニー・マー（ギター、ハーモニカなど）、D.C.コラード（ハモンドオルガン、ピアノ）、ジェームズ・エラー（ベース）、そして解雇されたデヴィッド・パーマー（ドラムス、一部の楽曲のみ）が名を連ねています。さらに、ダニー・トンプソン（アップライトベース）、ヴィニー・カリウタ（ドラムス）、ブルース・スミス（ドラムス）、ジョン・サークル、クリス・バチェラー、ガイ・バーカー（トランペット）、アシュレイ・スレイター（トロンボーン）、デイヴィッド・ローレンス（ホルン、フリューゲル[[ホルン]]）、ポール・ウェブ、ジーク・マニーイカ（バッキングボーカル）など、多くのミュージシャンが参加し、サウンドに彩りを加えています。

『ダスク』は、バンドとしての結束が失われつつある中で制作されたにもかかわらず、ザ・ザの新たな音楽性を開拓した作品として、音楽史において重要な位置を占めています。

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