ダスプレトサウルス族

ダスプレトサウルス族：後期白亜紀の頂点捕食者

[ダスプレトサウルス]]族（学名：Daspletosaurini）は、約7,700万年前から7,500万年前にかけて、北アメリカ大陸西部にあったララミディア大陸に生息していた大型の肉食恐竜のグループです。ティラノサウルス科に属し、現在では[[ダスプレトサウルス]と[タナトテリステス]の2属が含まれるとされています。

かつては、これらの恐竜の化石は全てダスプレトサウルス・トロスス(Daspletosaurus torosus)として分類されていましたが、2017年以降の研究により、別々の種であることが明らかになりました。これらの研究は、ダスプレトサウルス族の系統分類に新たな議論を投げかけました。初期の研究では、ダスプレトサウルス族が系統樹上で明確なまとまりを持たない、側系統群である可能性が示唆されました。しかし、2023年の研究では、形態学的および層序学的データに基づき、この説に反論する結果が発表されています。

ダスプレトサウルス族の形態

ダスプレトサウルス族は全長約9メートルに達する大型の肉食恐竜でしたが、ティラノサウルス(Tyrannosaurus)など他のティラノサウルス科の恐竜に比べると、やや小型でした。ティラノサウルスは全長12メートルを超える個体も確認されています。

ダスプレトサウルス族を特徴づける形態学的特徴としては、以下の点が挙げられます。

上顎骨の非常に粗い皮下表面
上顎の狭窄した頬骨枝
上顎の前腹側の隅が、浅い角度（65°未満）をなす
幅広い前頭前板
14本以上の上顎歯

これらの特徴は、ダスプレトサウルス族を他のティラノサウルス科の恐竜から区別する上で重要な手がかりとなっています。

ダスプレトサウルス族の分類と進化

[ダスプレトサウルス]]族の分類については、研究者間で様々な意見が存在します。2020年の研究では、ダスプレトサウルス族はティラノサウルス科の中で新しい族として、[[ズケンティラヌス]、[タルボサウルス]、ティラノサウルス(Tyrannosaurus)からなるグループの姉妹群として位置づけられました。

一方、2022年の研究では、[ダスプレトサウルス]]の3種が、ズケンティラヌス、タルボサウルス、ティラノサウルスにつながる系統の中で、成長段階を経る過程で進化したという仮説が提唱されました。この研究では、化石の断片性から[[タナトテリステス]と[ナヌークサウルス]は除外されています。

2023年の研究では、ダスプレトサウルス属(Daspletosaurus*)の種分化における無原因進化の可能性が議論されました。この研究では、異なる種のダスプレトサウルスの化石が同時期の地層から発見されていることを指摘し、形態学的変化の要因が必ずしも種分化ではない可能性を示唆しています。また、ダスプレトサウルスとタナトテリステスの関係性についても、形態学的、層序学的データから直接的な進化関係は否定されました。

まとめ

ダスプレトサウルス族は、後期白亜紀ララミディア大陸の生態系において重要な役割を果たした大型肉食恐竜です。その分類、進化、系統関係については、化石証拠の不足や解釈の違いから、現在も研究が進められています。今後の研究により、ダスプレトサウルス族の進化史がより詳細に明らかになることが期待されます。

もう一度検索