ダッジ・デュランゴ

ダッジ・デュランゴ：アメリカンSUVの進化

ダッジ・デュランゴは、アメリカを代表する自動車メーカー、クライスラー（現ステランティス）のダッジブランドが製造・販売するフルサイズSUVです。その歴史は、ピックアップトラックをベースとしたミッドサイズSUVとして幕を開けました。初代モデルでは、ミッドサイズSUVとしては画期的な3列シートを採用。後輪駆動と四輪駆動の両方をラインナップし、4.8L、5.2L、5.9Lのエンジンを搭載するなど、パワフルな走りを追求しました。

初代デュランゴ（1998-2003年）：タフな7人乗りSUV

初代デュランゴは、頑丈なトラックをベースとした7人乗りSUVとして登場しました。最大3.4トンもの牽引能力を誇り、そのタフな走りは多くのユーザーを魅了しました。ダコタピックアップトラックとフロント部分やインパネ、フロントシートなどを共有しながらも、独自の3列シートレイアウトを実現。後部乗員の視界を確保するため、フロントドアを短縮し、ルーフ高さを5cmアップするなど、細部にもこだわった設計が光ります。

エンジンは、初期は4.7L、5.2L、5.9LのマグナムV8エンジンが搭載されました。中でも、5.9LマグナムV8を搭載したR/Tモデルは、高性能版として人気を博しました。さらに、限定車として登場したシェルビーS.P.360は、スーパーチャージャーを搭載し、最高出力360hpを達成。0-60mph加速7.1秒、最高速度229km/hを誇る、まさにモンスターSUVでした。

1999年には後輪駆動モデルが追加され、3.9LマグナムV6もラインナップに加わりましたが、販売は低調でした。その後も改良が重ねられ、2000年には4.7LマグナムV8を標準に、2001年には内装の質感向上や快適装備の追加など、ユーザーニーズに応じた進化を遂げました。2002年には入門グレードのSXTを追加、2003年には4輪ディスクブレーキを採用するなど、安全性にも配慮した改良が施されました。

2代目デュランゴ（2004-2009年）：進化したフルサイズSUV

2代目デュランゴは、2003年の北米国際オートショーでコンセプトモデルとして発表された後、2004年に正式デビュー。初代と比較して車体のサイズが拡大され、より広々とした室内空間を実現しました。クライスラー・アスペンと多くのメカニズムを共有し、新しいコイルスプリング式サスペンションを採用するなど、走行性能の向上も図られました。

エンジンは、4.7LパワーテックV8を標準とし、5.7L HEMI V8エンジンも選択可能に。グレードはSXT、SLT、Adventurer、Limitedの4種類が用意され、ユーザーは自分の好みに合わせて選ぶことができました。2007年にはフェイスリフトを実施。グリルやヘッドライト、バンパーなどを変更し、デザインを刷新。電子安定性制御やタイヤ圧力監視システムなど、安全装備も充実しました。

しかし、2009年には生産終了が決定。アメリカの経済状況や工場閉鎖の影響を受け、その歴史に幕を閉じました。

3代目デュランゴ（2011年-現在）：グランドチェロキーとのプラットフォーム共有

生産終了からわずか2年後、ダッジは3代目デュランゴを発表。このモデルからは、ジープ・グランドチェロキーとプラットフォームを共有するモノコックボディを採用。生産拠点は、ミシガン州デトロイトのジェファーソン北組み立て工場に変更されました。グランドチェロキーより長いホイールベースと3列シートを採用することで、7人乗りのSUVとしての使い勝手を向上しました。

エンジンは、3.6LペンタスターV6と5.7LHEMI V8の2種類を用意。3.6L V6エンジンは、最大出力290hp、最大トルク350Nmを発揮します。また、復活した5.7L HEMI V8エンジンは、最大出力360hp、最大トルク529Nmと、圧倒的なパワーを誇ります。

2014年にはマイナーチェンジを実施。スポーティーなボディラインや、8速ATへの変更など、性能とデザインの両面で改良が施されました。2018年には、6.4L V8エンジンを搭載した高性能モデルSRTも追加され、ラインナップはさらに充実しました。

現在もアメリカ市場で販売が続けられている3代目デュランゴは、アメリカンSUVの伝統を受け継ぎつつ、最新の技術とデザインを融合した、魅力的な一台となっています。

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