ジープ・グランドチェロキー

ジープ・グランドチェロキー：歴史と進化の軌跡

ジープ・グランドチェロキーは、クライスラーが製造する人気SUVです。アメリカを代表するSUVとして、世界中で高い人気を誇り、オフロード性能とオンロード性能の両立を目指したモデルとして知られています。本稿では、初代モデルから最新モデルまでの歴史と進化について、詳細に解説します。

初代グランドチェロキー (ZJ/ZG型 1993-1998年)

1993年に発売された初代グランドチェロキーは、フォード・エクスプローラーに対抗するモデルとして開発されました。当初は1980年代後半の発売が予定されていましたが、クライスラーCEOのリー・アイアコッカの指示により、試作車の再設計が行われたため、発売が遅れました。

パワートレインは、AMC製の直列6気筒4.0Lエンジン、およびV型8気筒5.2Lマグナムエンジンが搭載され、後に4.9Lマグナムエンジンも追加されました。欧州仕様車には、VMモトリ製の直列4気筒2.5Lディーゼルエンジンも設定されました。駆動方式は四輪駆動と後輪駆動が用意され、様々な4WDシステムが採用されました。また、上級モデルとして、V8エンジンを搭載したグランドワゴニアが限定販売されました。1996年にはマイナーチェンジを行い、フロントグリルやバンパーのデザイン変更、デュアルエアバッグの採用などが行われました。

2代目グランドチェロキー (WJ/WG型 1999-2004年)

1999年に発売された2代目モデルは、ダイムラー・クライスラー発足後最初のモデルとなりました。初代モデルからの部品流用も行われましたが、ポルシェのエンジニアリングによって軽量化と堅牢化が図られました。パワートレインは、改良版のAMC製4.0L直列6気筒エンジンと、新型のパワーテックV型8気筒エンジンが搭載されました。トランスミッションは自動変速機のみとなり、新たにクォドラ・ドライブIIシステムがオプションで設定されました。内装も刷新され、後部座席のスペースが拡大されました。欧州やオーストラリア市場向けには、VMモトリとデトロイトディーゼルが共同開発した直列5気筒ディーゼルエンジンが搭載されました。また、2002年にはメルセデス・ベンツ製の直列5気筒ディーゼルエンジンも採用されました。2004年にはフェイスリフトを行い、フロントグリルのデザインが変更されました。生産終了後、生産設備は中国の北京ジープに売却され、中国でも販売されました。

3代目グランドチェロキー (WK/WH型 2005-2010年)

2005年モデルとして発売された3代目モデルは、NVH（騒音・振動・ハーシュネス）の改善や、ジープ初となるオンロード性能の向上を謳いました。これは、購入層の拡大を狙った戦略でした。パワートレインには、V型6気筒3.7LとV型8気筒4.7Lのパワーテックエンジンが搭載され、V型8気筒5.7Lと6.1LのHEMIエンジンがオプションで設定されました。欧州や南アメリカ、オーストラリア市場向けには、メルセデス・ベンツ製のV型6気筒ディーゼルエンジンが搭載され、北米でも2007年から搭載されました。2008年にはフェイスリフトを行い、ヘッドランプのデザインが変更されました。

4代目グランドチェロキー (WK2型 2010-2021年)

2010年に発売された4代目モデルは、ダイムラー・クライスラー時代に開発が開始され、メルセデス・ベンツMクラスとプラットフォームを共有する部分がありました。このモデルから、SUVからクロスオーバーSUVへと進化しました。新たな4WDシステムやエアサスペンション、4輪独立懸架式サスペンションを採用することで、オンロード性能が大幅に向上しました。エンジンは、V型6気筒3.6Lエンジンが主力となり、従来のV型8気筒エンジンよりも高い出力と燃費効率を実現しました。インテリアも改良され、カーゴルームの拡大やリアシートリクライニング機能などが追加されました。2014年と2017年にはマイナーチェンジを行い、デザインや装備が改良されました。また、高性能モデルであるトラックホークも追加されました。

5代目グランドチェロキー (WL型 2021年- )

2021年に発売された5代目モデルは、「グランドチェロキー」とロングホイールベース版の「グランドチェロキーL」の2種類が設定されました。初代ワゴニアをモチーフにしたデザインを採用し、伝統的な7スロットグリルと台形のホイールアーチが特徴です。インテリアには、ジープブランド初となるロータリーシフトが採用され、ZF製の8速ATと組み合わされます。プラットフォームはアルファロメオ・ジュリアやステルヴィオと共通の「ジョルジオ・プラットフォーム」をベースとしており、駆動方式は後輪駆動と2種類の4輪駆動が用意されています。パワートレインは、V型6気筒3.6Lエンジン、V型8気筒5.7L HEMIエンジンに加え、プラグインハイブリッドモデルも設定されました。グレードは、地域によって異なりますが、様々な装備が用意されています。日本市場には、グランドチェロキーLとグランドチェロキーが導入されました。

まとめ

ジープ・グランドチェロキーは、長年にわたって進化を続け、オフロード性能とオンロード性能の両立を目指してきました。それぞれの世代で、エンジン、駆動方式、デザイン、装備などが改良され、常に時代に合わせて進化しています。これからも、ジープ・グランドチェロキーは、世界中のSUVファンを魅了し続けるでしょう。

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