ダットサン・サニーキャブ/日産・チェリーキャブ

サニーキャブ / チェリーキャブ (SUNNY CAB / CHERRY CAB)

日産自動車が製造したサニーキャブとチェリーキャブは、キャブオーバー車として商用から乗用まで幅広いニーズに応えるモデルです。1970年代に登場したこれらの車両は、主にサニー店及びチェリー店向けに販売され、お互いに専属モデルとして位置付けられていました。サニーキャブは、日産のキャブライトからキャブスターへのモデルチェンジによって生じた市場の隙間を埋めるために開発され、特に軽貨物車のユーザーをターゲットとしました。

概要と設計特徴

1969年に登場したサニーキャブは、ダットサン・サニー（B10型系）のバリエーションの一部であり、セダンやクーペとは異なる独立したメカニズムを基にしています。そのため、独自の歴史とアイデンティティを持ち、トラックやライトバン、コーチといった多様な形式が用意されています。具体的には、600kg積のキャブオーバートラック、500kg積のライトバンとルートバン、さらには8人乗りのコーチといった多様なバリエーションが展開されました。

エンジンはA10型（1000cc）を搭載し、コンベンショナルな後輪駆動方式を採用しています。また、横置きリーフスプリングに基づくウィッシュボーン式フロントサスペンションを用いており、運転安定性が確保されています。インテリアでは細身のステアリングホイールや横長のメーターパネルが特徴的で、快適性に配慮した設計が施されています。特に、シートはバケット型のセパレートシートが採用され、ドライバーや乗客により良い快適性を提供します。

外観デザインは、シンプルでありながら機能美を追求した形状が特徴です。特徴的な無グリル設計や、光の反射を抑えたデザインが採用されており、平面的なキャブの構成が一体的な印象を与えます。

歴史的展開

サニーキャブは、1969年8月20日に全国的に発売され、すぐに多くのモデルバリエーションが提供されました。1970年にはチェリーキャブに改称され、チェリー店専売モデルに位置付けられました。この時期、日産は軽トラック市場にも注力し、愛知機械工業に生産を委託しました。

1975年に登場したC20Y型のサニーキャブは、フロントデザインを一新し、エンジンをA12型に変更して昭和50年の排出ガス規制に対応しました。このスペックアップにより、性能向上が図られました。1978年に生産が終了し、その後はサニーバネットおよびチェリーバネットが後継モデルとして展開されることとなります。

コメント

サニーキャブとチェリーキャブは、日産自動車にとって重要な商用車セグメントを形成していました。彼らはその機能性とデザインの融合によって多くの支持を集め、商用車市場における競争において重要な役割を果たしました。特に、利用者のニーズに合わせた多様なモデル展開は、当時の商用車の進化を示すものでした。これらのモデルは、日産自動車の歴史の中でも重要な位置を占めています。

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