ダニエル・ケリー

ダニエル・ジョセフ・ケリー（Daniel Joseph Kelly、1883年9月1日 - 1920年4月9日）は、アメリカ合衆国の陸上競技選手として、20世紀初頭にその名を馳せました。特に1908年のロンドンオリンピックにおける走幅跳での銀メダル獲得は、彼の輝かしいキャリアを象徴する出来事です。

生い立ちと競技との出会い

ケリーはコロラド州プエブロで生まれ、オレゴン州ベーカーシティで育ちました。彼の父はベーカーシティで鍛冶職人として生計を立てていました。1904年、ケリーはコロンビア大学（現在のポートランド大学）に入学し、本格的に陸上競技に取り組み始めます。その才能はすぐに開花し、短距離走で次々と学校記録を塗り替えるだけでなく、走高跳、砲丸投、ハンマー投といった様々な種目で活躍しました。

1905年の秋には、法律を学ぶためにオレゴン大学へ転校。ここでも陸上競技を続け、カレッジフットボールではハーフバックとして才能を発揮しました。陸上選手としては、1906年に100ヤード走と220ヤード走で当時の世界タイ記録を樹立。この実績により、彼は当時最高の陸上選手の一人として広く認められるようになりました。1908年には、アイリッシュ・アメリカン・アスレチッククラブ（Irish American Athletic Club）に加入し、競技者としてのステップアップを図ります。

ロンドンオリンピックでの銀メダル

1908年、ケリーはロンドンオリンピックに出場し、走幅跳競技に臨みました。この競技には9カ国から32名の選手が参加し、7月22日に熱戦が繰り広げられました。選手たちはそれぞれ3回の試技を行い、その記録を競い合いました。結果、同じくアメリカ代表のフランク・アイアンズがオリンピック記録を更新する7メートル48センチで優勝。ケリーは7メートル9センチを記録し、見事2位に入賞、銀メダルを獲得しました。

その後の人生

オリンピック以外にも、ケリーは1907年のAAU主催競技会で走幅跳の優勝を飾るなど、数々の主要な大会で実績を残しました。しかし、1909年の競技シーズン中に負傷し、惜しまれつつも現役生活から退くことになります。故郷のベーカーシティに戻った彼は、父の鍛冶屋の仕事を手伝ったり、カナダで木こりとして働いたりするなど、様々な職を経験しました。その後、ケリーは肺炎を患い、カナダで客死。彼の遺体はベーカーシティに埋葬されました。

死後の名誉

ダニエル・ケリーの功績は、彼の死後も長く語り継がれています。1980年に設立されたオレゴン州スポーツ殿堂は、ケリーの偉業を称え、殿堂入り第1号の栄誉を彼に与えました。さらに1992年には、オレゴン大学も彼を大学スポーツ殿堂入りさせています。これらの顕彰は、ケリーが陸上競技界に残した足跡の大きさを物語っています。

ダニエル・ケリーは、その短い生涯の中で、陸上競技選手として輝かしい実績を残しました。彼の名前は、オリンピックのメダリストとして、そしてオレゴン州のスポーツ史に名を刻む偉人として、永遠に記憶されることでしょう。

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