ダニー・サバテロ

ダニー・サバテロ（Danny Sabatello）は、1993年 3月31日生まれ、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身のプロ総合格闘家。名門アメリカン・トップチームに所属し、かつてはTitan FCのバンタム級タイトルを保持していた。

レスリングの実績

総合格闘技の基礎はレスリングに培われている。幼少期から競技を開始し、高校時代にはイリノイ州王者という栄誉に二度輝いた。高校での通算成績は152勝19敗という圧倒的な記録を残している。大学はパデュー大学に進学し、NCAAディビジョン1の予選を三度突破して、全米レベルのトーナメントに出場するなど、アマチュアレスリングで確固たる実績を築き上げた。

総合格闘技キャリアの始まり

2018年にプロ総合格闘家としての道を歩み始める。キャリア初期の主要な舞台となったのは、Titan FCであった。2019年12月、Titan FC 58大会でアーウィン・リベラが保持するバンタム級王座に挑戦したが、この試合ではキャリア初の敗北となる4ラウンドTKO負けを喫し、ベルト獲得は叶わなかった。

しかし、翌2020年6月のTitan FC 61では、空位となったバンタム級王座をかけてレイモンド・ラモスと対戦。このチャンスをものにし、1ラウンドでリアネイキドチョークによる一本勝ちを収め、見事に王者に輝いた。王者として迎えた2021年2月のTitan FC 67では、挑戦者ダモン・ブラックシュアーを相手に3-0の判定勝利を収め、初防衛に成功している。

Titan FCでの活躍後、より大きな舞台を目指すサバテロは、2020年11月に登竜門であるDana White's Contender Seriesに出場。テイラー・ムーアに判定で勝利したが、残念ながらUFCとの契約には至らなかった。

Bellatorでの戦い

2021年5月、アメリカを代表するメジャー団体の一つ、Bellatorに初参戦。Bellator 259でブレット・ジョーンズと対戦し、判定勝ちを収め、Bellatorでの白星スタートを切った。

2022年4月にはBellator 278でバンタム級ランキング上位のジョーネル・ルーゴに判定勝利。この勝利によって、Bellatorバンタム級ワールドグランプリへの出場権を獲得した。同年6月のBellator 282で行われたグランプリ1回戦では、ランキング6位のレアンドロ・イーゴを相手に5ラウンドを戦い抜き、判定勝ちで準決勝へと駒を進めた。

グランプリ準決勝は、同時にBellator世界バンタム級暫定タイトルマッチという重要な一戦となった。2022年12月、Bellator 289で暫定王者ラウフェオン・ストッツと対戦。激しい攻防の末、惜しくも1-2の判定で敗れ、グランプリ決勝進出と暫定王座獲得はならなかった。

ストッツとは2023年11月のBellator 301で再戦の機会を得たが、この試合も判定で敗れている。Bellatorではその後、2024年8月にPFLとのクロスオーバーイベントとなるPFL 8でラザロ・ダイロンと対戦し、判定は1-0の引き分けとなった。

日本の舞台、RIZINへ

2025年に入り、サバテロのキャリアは新たな局面を迎える。同年2月、自身のSNSや所属チームのアカウントを通じて、日本のメジャーイベントであるRIZINとの複数試合契約を発表した。これは2023年の超RIZIN.2以来、二度目のRIZIN参戦となる。

そして、2025年5月4日に開催されたRIZIN男祭りで、レスリングのオリンピックメダリストである太田忍と対戦。試合はサバテロが打撃で優位に進める展開となったが、3ラウンドに太田がテイクダウンを試みた際に偶発的な事故が発生。マットに頭部を強打した太田の動きが止まったところを見逃さず、パウンドの連打でTKO勝利を収めた。

人物像

ダニー・サバテロは、その実力だけでなく、対戦相手に対して挑発的な言動を繰り返す「トラッシュトーカー」としても広く知られている。その大胆不敵なキャラクターは、特に試合前の煽り合いで注目を集め、良くも悪くも彼の試合に対する関心を高める要因となっている。RIZIN参戦時にも、対戦相手の太田忍との間で激しい舌戦を繰り広げ、話題となった。

強固なレスリング能力を基盤に、アグレッシブなファイトスタイルと独特なパーソナリティを併せ持つダニー・サバテロは、総合格闘技界で異彩を放つ存在である。

もう一度検索