ダニー飯田とパラダイス・キング

ダニー飯田とパラダイスキング：日本の音楽史に刻まれた軌跡

1955年、ダニー飯田をリーダーとする「ダニー飯田とパラダイスキング」（愛称：パラキン）が結成されました。当初は「ダニー飯田とパラダイス・ハーモニー」という名で、ハワイアンミュージックを基調とした演奏活動を行っていました。翌年には現在のグループ名に改名し、その後1958年頃からはロックンロールを取り入れ、独自の音楽性を確立していきます。特に、洋楽を日本語に訳詞して発表する「訳詞ポップス」は、彼らの大きな特徴と言えるでしょう。

初期のメンバーには、水原弘や石川進といった実力派ボーカリストが名を連ねていました。水原弘はソロ活動に専念するため1958年に脱退しますが、その後、国民的スターとなる坂本九が加入。当初は米軍キャンプを中心に演奏活動を行っていましたが、日劇ウェスタンカーニバルへの出演を機に人気が急上昇し、1959年9月にはビクターレコードよりアルバム『ジュークボックスで逢いましょう』でレコードデビューを果たします。同年10月にはシングル「題名のない歌だけど」で坂本九がボーカルデビューしますが、この曲はヒットには至りませんでした。

その後、東芝レコードに移籍。1960年8月にリリースした「悲しき六十才」は10万枚を超える大ヒットとなり、彼らの代表曲の一つとなりました。続く「ビキニスタイルのお嬢さん／ステキなタイミング」も大ヒットを記録し、パラキンの名を全国に知らしめました。しかし、坂本九はソロ活動の成功により、1961年にグループを離れます。

坂本九脱退後も、パラキンは活動を継続します。石川進も1962年に脱退しますが、九重佑三子、赤木良輔、富松千代志、唱田久美子といった実力派ボーカリストが次々と加入し、それぞれの個性と魅力を音楽に注ぎ込んでいきました。1962年にはNHK紅白歌合戦に初出場を果たし、「シェリー」「ワシントン広場の夜は更けて」などのヒット曲を連発。東芝レコードから日本クラウンに移籍するなど、積極的に活動の場を広げていきます。

興味深い点は、パラキンが坂本九や富松千代志らのソロ活動において演奏やコーラスで協力していたことです。「花咲く街角」「勉強のチャチャチャ」など、多くのヒット曲にパラキンのメンバーの貢献が認められます。これらの活動を通して、日本の音楽シーンに大きな影響を与えていました。

1999年、リーダーのダニー飯田が腎不全のため65歳で死去。これにより、ダニー飯田とパラダイスキングは事実上解散しました。しかし、解散後も主要メンバーを中心に、時折パラダイスキング名義で活動が続けられているとのことです。

パラキンには、ダニー飯田、佐野修、上野保夫、川合洋次、寺沢武、増田多夢、水原弘、石川進、坂本九ら多くのメンバーが在籍し、それぞれの才能と個性を発揮することで、バンドとしての魅力を高めました。多くのヒット曲を生み出し、映画やテレビドラマにも出演するなど、多方面で活躍した彼らの功績は、日本の音楽史に深く刻まれています。彼らの音楽は、時代を超えて人々の心に響き続けるでしょう。

もう一度検索