ダビルシム

ダビルシム：フランスの至宝、そして種牡馬への道

ダビルシムは、フランスで生まれ育ち、数々の栄光を手にした競走馬です。その名は、馬主であるシモン・シュプリンガー氏の家族、息子David、妻Birgitte、そして氏自身のSimonの頭文字を組み合わせた造語です。この愛称からも、彼ら家族にとってダビルシムがかけがえのない存在であったことが伺えます。

ダビルシムの母、Rumoredはアメリカで繁殖生活を送っていましたが、2008年、ハットトリックを懐胎した状態でフランスへと渡ります。そして、2009年、ダビルシムが誕生しました。1歳時にはドーヴィルオーガストイヤリングセールに出品され、新たなオーナーのもとで競走馬としてのキャリアをスタートさせます。

若き調教師クリストフ・フェルラン氏の指導の下、ダビルシムは2歳シーズンに衝撃的なデビューを飾ります。デビュー戦では出負けしながらも、馬なりのまま10馬身差での圧勝。続くレースでも危なげない勝利を収めると、G3カブール賞で重賞初制覇を達成、フェルラン氏にとっても初の重賞勝利となりました。

そして迎えたG1モルニ賞。名手ランフランコ・デットーリ騎手を鞍上に、ダビルシムは1番人気に応え、3馬身差の圧勝でG1初制覇を飾ります。この快挙により、ダビルシムには数々のトレード話が舞い込みましたが、家族の象徴であるダビルシムを手放すことを拒否したシュプリンガー氏の決断は、ダビルシムへの深い愛情を物語っています。

続くジャン・リュック・ラガルデール賞では、スタートで後方からの競馬を強いられながらも、鮮やかな追い込みで逃げ馬を差し切り、G1二勝目を挙げます。デットーリ騎手はダビルシムを「これまで乗った中で最高の2歳馬」と絶賛し、その才能を高く評価しました。

2歳シーズンを終えたダビルシムは、カルティエ賞最優秀2歳牡馬に選出され、ワールド・サラブレッド・ランキングでも世代トップの評価を受けました。さらに翌年には、2歳馬として異例の栄誉であるフランス年度代表馬に選出される快挙を達成します。

3歳シーズン、ダビルシムは新たな主戦騎手クリストフ・スミヨン騎手とともに、マイル戦に挑戦します。しかし、シーズン初戦のフォンテーヌブロー賞では惜しくも2着に敗れ、連勝はストップします。続く仏2000ギニーでも6着に終わり、距離適性や騎乗への課題が浮き彫りになりました。その後、スミヨン騎手とのコンビ解消を経て、ダビルシムは残念ながら4歳シーズン開幕前に脚部不安のため引退することとなります。

引退後はドイツのカルツォフ牧場で種牡馬入り。初年度種付料は9000ユーロと高額でしたが、その人気は高く、初年度の種付け頭数はドイツにおける新記録となる134頭に達しました。種牡馬としても成功を収め、産駒たちは数々の重賞競走を制覇、ダビルシム自身もリーディングファーストシーズンサイアーに輝くなど、その遺伝子は確実に受け継がれていきました。

ダビルシムは、華々しい競走馬としてのキャリアと、種牡馬としての成功によって、フランス競馬史にその名を刻みました。その活躍は、関係者たちの愛情と努力、そしてダビルシム自身の類まれな才能が一体となって生み出された奇跡と言えるでしょう。彼の血統は、これからも世界の競馬界で輝きを放ち続けることでしょう。

主な産駒

Coeur de Beaute (クールデボーテ): インプルーデンス賞(仏G3)
Different League (ディファレントリーグ): アルバニーステークス(英G3)、チェヴァリーパークステークス2着

血統背景

ダビルシムの血統には、イタリアG1オークスイタリアーノ勝ち馬であるBright Generationや、モルニ賞勝ち馬であるMadinaなど、名馬たちの血が受け継がれています。これらの名馬たちの血統が、ダビルシムの類まれな才能を形作ったと言えるでしょう。さらに、その母系には、日本にも輸入され、活躍している繁殖牝馬の血統も含まれています。ダビルシムの血統背景は、その活躍を裏付ける重要な要素の一つです。

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