主戦騎手

主戦騎手とは

主戦騎手（しゅせんきしゅ）とは、競馬において特定の競走馬の専属騎手を指す言葉です。この用語は一般的に「主戦」とも略されます。主戦騎手がその馬に常時騎乗するとは限らず、特に海外での遠征やGI競走において、他の競走馬の主戦騎手として役割を担うこともあります。そのため、同じ騎手が異なる競走馬に騎乗することも少なくありません。また、主戦騎手から見た場合、特定の馬は「お手馬」と称されます。

主戦騎手という概念は、時に特定の厩舎で主に騎乗する騎手を指すこともあります。かつては厩舎所属の騎手が、その厩舎の有力馬に乗ることが多かったため、見習い騎手が騎乗することのある平場オープン競走などと比較して、常に騎乗する騎手が主戦騎手とされました。特に馬主が特定の騎手に騎乗依頼をするケースも存在し、このようなフリー騎手として名を馳せた例には、「ヒシ」冠名の馬を手がけた小野定夫や「サクラ」冠名の馬を担当した小島太などが挙げられます。

主戦騎手の具体例

トップジョッキーはしばしば同じ競走で自分の主戦騎手を務める競走馬が出走する状況に出くわします。こうした場面では、どちらの馬に騎乗するかを選ばなければならないことが多いです。1998年の毎日王冠（GII）はその良い例で、的場均が主戦騎手を務めるグラスワンダーとエルコンドルパサーがともに出走しました。的場は長い間悩んだ末にグラスワンダーを選びましたが、結果は5着でした。一方、エルコンドルパサーは蛯名正義が騎乗し2着となりました。しかし、その後グラスワンダーは年末の有馬記念や翌年の宝塚記念に勝利し、グランプリ3連覇を達成しました。逆にエルコンドルパサーは、蛯名が主戦騎手となり、ジャパンカップを制覇し、凱旋門賞では2着に健闘しました。このように、主戦騎手の選択はその後の結果に大きな影響を及ぼすことがあります。

過去には武豊が主戦騎手を務める競走馬が同一GI競走に出走するケースも多く見受けられました。1998年の宝塚記念や1997年の有馬記念、2006年の皐月賞など、様々な競走で複数頭を手がけていました。GO競走にはレベルの高い競走馬が出るため、武豊に乗ることで知られる競走馬が多かったのです。

2019年には、サートゥルナーリアとアドマイヤマーズの2頭が牡馬クラシックで注目を集めましたが、両馬の主戦騎手はミルコ・デムーロでした。しかし、サートゥルナーリアはクリストフ・ルメールに乗り替わり、デムーロはアドマイヤマーズに騎乗することになりました。その後、皐月賞で両馬が対戦し、サートゥルナーリアが優勝したという事実が、主戦騎手の選択の重要性を物語っています。

日本の主な厩舎と主戦騎手

日本における主な厩舎とそれに所属する主戦騎手は以下の通りです。競馬界におけるこの役割は、馬の成績や騎手のキャリアに大きな影響を与えるため、非常に重要です。

• - 久保田貴士: 蛯名正義、田辺裕信
• - 国枝栄: クリストフ・ルメール
• - 昆貢: 四位洋文、松田大作、横山典弘、古川吉洋
• - 藤沢和雄: 北村宏司、クリストフ・ルメール

このように、主戦騎手は競馬の戦略や結果において欠かせない存在であり、選択によってレースの行方が大きく変わることもあるのです。

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