ダブリン技術学院

ダブリン技術学院（Dublin Institute of Technology: DIT）

ダブリン技術学院は、アイルランドの首都ダブリンに本部を置いていた国立の高等教育機関です。1978年に設立され、2019年に他の二つの技術学院と合併し、ダブリン工科大学（Technological University Dublin; TU Dublin）へと発展しました。略称はDITです。

概要

技術学院は、総合大学に比べて職業訓練に重点を置いた教育を提供することで知られています。ダブリン技術学院もその例に漏れず、学生が卒業後すぐに専門分野で活躍できるよう、実践的なカリキュラムを重視していました。しかし、大学としての認可は受けていなかったものの、大学と類似した教育構造を有していたため、様々な大学ランキングで評価されていました。

評価

ダブリン技術学院は、その教育水準の高さから、国際的な大学ランキングで一定の評価を受けていました。例えば、クアクアレリ・シモンズによる「QS世界大学ランキング」では、2019年に世界751〜800位台にランクインしています。過去には、2010年に世界395位を記録したこともありました。また、タイムズ・ハイアー・エデュケーションの「THE世界大学ランキング」では、2019年に世界801〜1000位台にランクインしています。過去最高は、2017年と2018年の世界601〜800位台でした。

沿革

起源

ダブリン技術学院の歴史は、1887年に設立されたダブリン市技術学校（City of Dublin Technical Schools）に遡ります。この学校は、アーノルド・フェリックス・グレイブスによって設立されました。その後、多くの技術学校が開校し、これらが統合されてダブリン技術学院を形成しました。

主な技術学校は以下の通りです。

技術カレッジ、ケビン通り（1887年設立）
音楽カレッジ、チャタム・ロウ（1890年設立）
商科カレッジ、ラスマインズ（1901年設立）
マーケティング・デザイン・カレッジ、マウントジョイ・スクエア（1905年設立）
技術カレッジ、ボルトン通り（1911年設立）
ケータリング・カレッジ、キャサル・ブルガ通り（1941年設立）

学位授与

1975年、ダブリン大学はダブリン技術学院を構成する各カレッジに学位を授与する協定を結びました。この協定は、1998年にダブリン技術学院が独自の学位授与権限を得るまで続きました。1992年のダブリン技術学院法により、独自の学位授与が認められたのです。

連邦制度（1978年 - 1992年）

1978年、複数の技術カレッジが統合され、ダブリン技術学院が設立されました。

単一の教育機関へ

1992年、ダブリン技術学院は、ダブリン技術学院法に基づき、単一の教育機関として法的に設立されました。

総合大学認可へ

1996年、ダブリン技術学院は総合大学への昇格を申請しましたが、却下されました。しかし、当時すでに総合大学と同等の教育活動を行い、学位も国際的に認められていました。アイルランド国家資格局（National Qualifications Authority of Ireland）の定める国家資格フレームワークに準拠した学士号、修士号、博士号を授与する権限を持っていました。

工科大学へ

2014年、ダブリン技術学院は、タラ技術学院とブランチャーズタウン技術学院と共に、工科大学としての指定を受けるためのプロセスを開始しました。2018年4月に正式申請を提出し、同年7月にダブリン工科大学（TU Dublin）の設立が承認されました。ダブリン工科大学は2019年1月1日に発足しました。

組織構成

ガバナンス

ダブリン技術学院は、ダブリン市長、社会・産業界の代表、教職員、学生などで構成される運営組織によって管理されていました。最終議長はトム・コリンズ教授でした。初代の暫定学長はマイケル・オドネルで、その後、ブレンダン・ゴールドスミス教授が学長に就任しました。2003年から閉校まで、ブライアン・ノートン教授が2代目の学長を務めました。

学部

閉校時（2019年）には、以下の学部が設置されていました。これらの学部は、ダブリン工科大学にも引き継がれています。

芸術観光学部
創作芸術学科
調理食品技術学科
ホスピタリティ経営観光学科
外国語・法学・社会科学科
メディア学科
音楽演劇学科
経営学部
経理財務経営学科
マーケティング学科
小売・サービス経営学科
建築環境工学部
建築学科
土木工学科
電気電子工学科
機械設計工学科
学際技術学科
測量施工管理学科
交通工学・環境・計画学科
理保健学部
生物健康科学科
化学薬学科
計算機学科
食品科学・環境衛生学科
数理学科
物理・臨床・検眼科学科

入学試験

アイルランド、イギリス、EU、EFTA圏内の学部課程の入学申請は、中央出願局（CAO）が担当していました。CAOは、入学要件を満たした受験生に合否通知を送付し、入学決定はダブリン技術学院の指示によって行われていました。入学要件は学部やコースごとに異なり、アイルランドのリービング・サーティフィケート、イギリスのAレベル、フランスのバカロレア、国際バカロレアなどの試験結果が考慮されました。EU圏外の学生には、異なる入学手続きが適用されました。

修士課程と博士課程への入学は、ダブリン技術学院が直接担当していました。

研究科

閉校時（2019年）には、以下の研究科が設置されていました。これらの研究科も、学部と同様にダブリン工科大学に引き継がれています。

芸術観光系研究科
創作芸術研究系
調理食品技術研究系
ホスピタリティ経営観光研究系
外国語・法学・社会科学研究系
メディア研究系
音楽演劇研究系
経営学研究科
経理財務経営研究系
マーケティング研究系
小売・サービス経営研究系
ビジネス研究系
建築環境工学系研究科
建築研究系
土木工学研究系
電気電子工学研究系
機械設計工学研究系
学際技術研究系
測量施工管理研究系
交通工学・環境・計画研究系
理保健学系研究科
生物健康科学研究系
化学薬学研究系
計算機学研究系
食品科学・環境衛生学研究系
数理学研究系
物理・臨床・検眼科学研究系

学生生活

学生自治会

ダブリン技術学院学生自治会は、すべての学生を代表する組織でした。学部、修士、博士課程の学生の声が反映されるように運営され、学生は自動的に会員となっていました。

スポーツクラブ

40以上のスポーツクラブがあり、ゲーリックフットボール、サッカー、ハンドボール、ライフル射撃、水球、アーチェリー、バスケットボール、カイトサーフィン、クリケットなど、様々なスポーツを楽しむことができました。

主な出身者

バーティ・アハーン - 第11代アイルランド首相
リン・ヒラリー - 歌手
ドーナル・グリーソン - 俳優
ルイーズ・ケネディ - ファッションデザイナー

関連項目

ダブリン工科大学
アイルランドの教育
アイルランドの高等教育
アイルランドの技術学院一覧

外部リンク

ダブリン技術学院（英語）（アイルランド語）
* ダブリン工科大学（英語）（アイルランド語）

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