ダブルデッキ

ダブルデッキとは

ダブルデッキとは、一般的に2つのデッキ（記録・再生装置）を1つの筐体に搭載した装置を指します。オーディオ・ビジュアル機器の分野では、異なるメディア間のダビングや同時録音・再生を可能にするなど、その利便性から多くの製品が開発されました。また、乗り物や建築の分野でも、2層構造や2つの機能を組み合わせたものをダブルデッキと呼ぶことがあります。

オーディオ・ビジュアルにおけるダブルデッキ

オーディオ・ビジュアル機器におけるダブルデッキは、主に以下のような特徴があります。

同一メディア間のダビング: 1つの筐体に2つの録音・再生装置を搭載することで、追加配線なしで同一メディア間のダビングが可能です。
同時録音・再生: 2つのデッキを搭載することで、同一ソースの同時録音・録画や、異なるソースをそれぞれのメディアへ同時録音・録画が可能な機種もありました。また、片方のデッキで録画・録音中に、もう片方のデッキで再生できる機種も存在しました。
異なる規格のメディアへの対応: ダブルデッキの中には、アナログ規格とデジタル規格、標準サイズとミニサイズなど、異なる規格のメディアを1基ずつ搭載したものもあり、異なる規格のメディアへのダビングを想定したものが多くありました。

ただし、CDラジカセやミニコンポなど、CDからカセットやMDへのダビング機能を備えた機種は、ダブルデッキとはみなされません。また、1つの筐体に2つのメディア挿入口があっても、ヘッドやピックアップが1基のみの場合は、ダブルデッキとは区別されます。

主なダブルデッキの種類

コンパクトカセット

カセットデッキを2基搭載し、カセットからカセットへのダビングを可能にしたダブルカセットデッキは、1980年代から1990年代にかけて広く普及しました。高速ダビング対応機種も多く、録音デッキを2基搭載した機種も存在しました。クラリオンが1977年に発売した「MD-8080A」が初出機種とされています。

2000年代以降は、MDやCD-R/RW、デジタルオーディオプレーヤーに押され、新製品は少なくなりましたが、現在でもコンパクトカセットやダブルラジカセは根強い需要があります。アイワからは、コンパクトカセットとマイクロカセットの組み合わせという特異なダブルデッキも登場しました。

松下電器からは、プレイヤー1基とレコーダー2基を搭載した「LOVE CALL トリプルカセット　RX-F333」が発売されましたが、高額商品であったことや海賊版テープ作成が横行したため、短期間で販売終了となりました。[シャープ]]は、ヘッドやキャプスタンなどを同軸上に配置した「TWINCAM W」を発売し、ソニーは、ウォークマンブランドでプレイヤーとレコーダーを搭載したヘッドホンステレオを発売しました。日立製作所からは、片方のデッキを取り外してヘッドホンステレオとして使える機種も登場しました。また、デジタルコンパクトカセット]では、DCCデッキと[[コンパクトカセットデッキを1基ずつ搭載した機種も存在しました。

ミニディスク (MD)

ダブルMDは、1997年にケンウッドが発売したXM-7MDが初出機種とされています。その後、ソニー、ビクター、パイオニアからも発売されました。MDLP登場以前は、MDチェンジャーと組み合わせた製品が多く、2基とも録音できる機種や、高速MDダビングが可能な機種もありました。パイオニアからは、別売りのコンポと組み合わせることで、2枚のCDを同時に2枚のMDに録音できる機種も発売されました。

ダブルMDも、2000年代後半以降はデジタルオーディオプレーヤーに押され、2011年までに全てのメーカーが生産を終了しました。

ビデオテープ

ビデオテープのダブルデッキは、主にビデオカメラからのダビングを想定した機種が多く、ソニーやビクターから、DVとS-VHS、8ミリビデオとVHSの組み合わせのダブルデッキが発売されました。チューナーを2系統搭載し、2番組同時録画が可能な機種も一部存在しました。

シントムからは、ダブルVHSビデオが発売されましたが、コピーガード除去装置が内蔵されていたため、法律で販売を禁止され、以後は内蔵されなくなりました。

東芝からもダブルVHSビデオがありましたが、レコーダーを2基搭載したものではなく、テープ残量を多めにしたり、目的別に録れるビデオでした。

CD・DVD・BD

CDレコーダーでは、再生用のCDプレーヤーと録音用のCDデッキを搭載している機種が多く見られました。また、CDプレーヤーを2基搭載し、簡易的なチェンジャーやリミックス、複数CDの同時再生が可能な機種も存在しました。

ダブルDVDデッキは、DVDカーナビゲーションの一部に見られ、ナビ用の地図CD/DVDを抜き取らずに他の音楽CD/DVDを挿入できるのが特徴でした。また、シャープからは、CD/DVDとBDのツインデッキ仕様としたBDレコーダーが発売されたこともあります。

その他のダブルデッキ

エレベーター: 乗箱を2階建て構造にしたものは「ダブルデッキ」と呼ばれます。
乗り物: 鉄道やバスなどの2階建車両は、「ダブルデッカー」と呼ばれます。
建築: 千葉県柏市の柏駅東口にあるペデストリアンデッキは、「ダブルデッキ」と呼ばれています。

このように、ダブルデッキは様々な分野で異なる意味を持ちながらも、2つのユニットを組み合わせることで、利便性や効率性を高めるという共通の目的を持っています。

ダブルデッキ