ダブ・プレート

ダブ・プレート (Dubplate)

ダブ・プレートとは、通常12インチ、10インチ、または7インチのダイレクトカッティング方式で録音されたアセテート盤のことを指します。特にレゲエのサウンド・システムにおいて、ライブ演奏で使用される編集済みの音声記録メディア全般を指す言葉として用いられます。本来のアセテート盤だけでなく、CD-Rやコンピュータの音声ファイルなども含まれます。

概要

ダブ・プレートはアセテート盤の一種であり、その名称は主にレゲエのサウンド・システムで使用されますが、ドラムンベースやその他のダンスミュージックのDJやサウンド・システムでも使用されています。「ダブ (dub)」または「スペシャル (special)」とも呼ばれることがあります。

これらのダブ・プレートは、通常、特定のサウンド・システムのために制作された、一般にはリリースされない録音、入手困難なバージョン、または既存の録音のリミックスです。ただし、最終的に一般に流通することもあります。一般に発売されるビニール盤よりも安価に制作できるため、リリース前の市場調査やプロモーションを目的として使用されることがあります。

しかし、アセテート盤は寿命が限られており、良好な音質を保てるのは再生回数50回程度までです。そのため、通常のレコードと同様にビニール盤で作られることもあります。

サウンド・クラッシュにおけるダブ・プレート

レゲエのサウンド・システムは、サウンド・クラッシュと呼ばれるイベントで互いに音で競い合います。このため、ライバルに打ち勝つための「武器」として、サウンド・システムはダブ・プレートを使用するようになりました。本来は市場調査やプロモーション目的で使用されていたダブ・プレートが、その希少性と独自性から、競争の道具として利用されるようになったのです。

より新しく、より珍しいダブ・プレートを録音することで、他のサウンド・システムとの差別化を図ります。特に1990年代以降は、このようなダブ・プレートを「スペシャル」と呼ぶようになりました。これは、各サウンド・システムのためだけに特別に録音されたレコードであり、例えばヒット曲のリディムに、シンガーやディージェイがそのサウンド・システムを称賛したり、対戦相手のサウンド・システムを貶す歌詞を乗せて録音したものです。日本のサウンド・システム・シーンでは、これは「仕込み」とも呼ばれています。

ダブ・プレートの現在

現代のダブ・プレートは、アセテート盤よりもビニール盤で少量生産されるか、CD-Rなどに録音されることが多くなっています。録音方法も、ダイレクトカッティングによる一発録音ではなく、編集が行われることが一般的です。しかし、いずれの場合も「ダブ・プレート」と呼ばれます。

特に人気のあるサウンド・システムのダブ・プレートは、編集されてリリースされることもあります。これは、元々が限定的な存在であったダブ・プレートが、より多くの人々に共有される形に変化していることを示しています。

ダブ・プレートは、レゲエのサウンド・システム文化において、音楽的な希少性と競争意識を象徴する重要な要素です。その独自性と限定性から、サウンド・クラッシュにおける戦略的な武器として、そしてサウンド・システム独自のアイデンティティを表現する手段として、重要な役割を果たし続けています。

外部リンク

Ten of the baddest Roots Dubplates of all time - by Jah Warrior
Dubplate Pressure - From Mixmag magazine

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