ダモダル・パンデ

ダモダル・パンデ（ネパール語: दामोदर पाण्डे、英語: Damodar Pande）は、1752年に生まれ、1804年3月13日に死去したネパール王国の重要な政治家です。彼は1799年から1804年にかけて、同国の首相として政権運営を担いました。後に同じく首相となるラナ・ジャンガ・パンデは、彼の息子にあたります。

彼の政治家としてのキャリアは、特に国王ラナ・バハドゥル・シャハの動向と深く結びついています。1799年、ダモダルは国の政務を取り仕切る執政に任命されました。この年に、当時の国王ラナ・バハドゥル・シャハは、自身の息子であるギルバン・ユッダ・ビクラム・シャハに王位を譲る決断をしました。しかし、この新国王が側室の子であったため、王位継承の正統性を巡る問題が生じます。ダモダルを含む95名もの重臣たちは、この譲位を承認することを誓う起請文への署名を強いられました。

ラナ・バハドゥルは王位を譲った後、出家してデウパタンに移り、隠居後も政治の実権を握り続ける院政を目論んでいました。ところが、彼が深く愛していた妃カンティワティー・デビーが病に倒れ、まもなく死去するという予期せぬ出来事が起こります。この悲劇により計画が狂ったラナ・バハドゥルは、カトマンズ近郊のパタンで再び政治的な権威を行使しようと動き始めました。

これに対し、ダモダルやキルティマン・シンハ・バスネットといった主要な重臣たちは、正当な国王であるギルバン・ユッダを擁立し、首都をヌワコートに移すという対抗策を講じました。権威回復を目指すラナ・バハドゥルは、自らの影響下にある軍をヌワコートに派遣して圧力をかけようとしました。しかし、軍の大半は国王ギルバン・ユッダとダモダルら現体制の側に付き、ラナ・バハドゥルの目論見は外れます。この状況を受け、1800年、ラナ・バハドゥルは有力な支持者であったビムセン・タパらを伴って、インドのヴァーラーナシーへ亡命する事態となりました。

ラナ・バハドゥルが不在の間、ダモダルは首相として政権を主導し、国の運営にあたりました。しかし、約4年後の1804年、ラナ・バハドゥルがヴァーラーナシーからカトマンズへの帰還を果たします。これにより、ダモダルは再びラナ・バハドゥルと政治的な主導権を巡って激しく対立することになりました。

この二度目の対決では、前回とは異なり、軍の支持がラナ・バハドゥルの側に集まりました。軍の支援を失ったダモダルは劣勢に立たされ、形勢は一気に逆転します。その結果、ダモダル・パンデは1804年3月13日、自身の2人の息子と共に処刑されるという悲劇的な最期を迎えることとなりました。彼の生涯は、ネパール王国初期における激しい権力闘争の時代を象徴しています。

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