ダルド (CIWS)

ダルド (FCS)

ダルドは、イタリアのセレニア社（現在のSELEXエルサグ）によって開発された射撃指揮システム（FCS）であり、近接防空システム（CIWS）の一部として70口径40mm連装機関砲と組み合わせて使用されます。これは、近年の海上戦闘において重要な役割を果たす防空能力を提供するために設計されています。

特徴

ダルドの最大の特徴は、従来のCIWSが自己完結型システム的なアプローチに向かっていたのに対し、ダルドは捕捉レーダー、火器管制システム、および機関砲を分散配置し、艦艇全体のシステムとの統合を図っている点です。この分散型のアプローチにより、複数のシステムが連携し合い、より高度な防空能力を実現しています。

具体的には、ダルド・システムはNA-10砲射撃指揮システムのCIWSバージョンの位置付けとなっており、様々なレーダーや機関砲を適切に組み合わせて機能します。使用される捕捉レーダーはSバンドのRAN-10S、火器管制レーダーはXバンドのRTN-20Xが採用されています。また、機関砲には70口径40mm連装機関砲（コンパクト・フォーティー）が用いられています。加えて、中国人民解放軍海軍やタイ王国海軍向けにはそれぞれカスタマイズされた山寨化（模倣）モデルが存在し、347型レーダーや360型レーダー、76A式37mm連装機関砲が搭載されることがあります。

電子戦に対応した設計

ダルドはまた、電子攻撃の影響を受ける状況を想定し、電子光学（EO）式の副方位盤を備えています。これにより、様々な環境において効果的に運用が可能となります。情報処理装置としては18ビットの電子計算機が採用されており、最大で10個の目標を同時に追尾する能力を持っています。この追尾装置は、自動交戦も可能であり、運用者が効果的に敵の脅威に対処できるよう設計されています。

NA-30 FCS（ダルド-E）

ダルドには、火器管制レーダーをより高出力のRTN-30Xに更新したNA-30 FCSというバリエーションもあります。これをダルド-Eと呼ぶことがあり、このバージョンでは機関砲の替わりに62口径76mm単装速射砲（スーパー・ラピッド砲）が採用されることになります。これは火力の向上を図った改良版であり、多様な海戦環境に適応するための設計です。

採用国

ダルドは、特にイタリア海軍で多く使用されており、そのほかにも中国人民解放軍海軍やタイ王国海軍においても採用されています。各国のニーズに応じて異なるモデルが提供されており、それぞれの国の海軍戦力を支えています。

参考文献

本システムに関する詳細な情報は以下の文献を参照してください。

• - Friedman, Norman (1997), The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998
• - Hooton, E.R., ed. (1998), Jane's Naval Weapons Systems (26th ed.)
• - 海人社 編 (2003), 『世界の艦船』第609号、対艦ミサイル防御の切札
• - 陸易 (2011), 『世界の艦船』第748号、中国軍艦のコンバット・システム

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