RAN-10S

RAN-10S: イタリア製2次元レーダーの概要

RAN-10Sは、1980年にイタリアのセレニア（現在のSELEX）社によって開発された2次元レーダーです。このレーダーは、主にフリゲートやコルベットに搭載されることを視野に入れ、低空警戒や対水上捜索の目的で設計されました。イタリア海軍ではMM/SPS-774として知られており、その性能には高い評価が寄せられています。

開発の背景

RAN-10Sは、実際には1960年代に開発された巡洋艦や駆逐艦向けのLバンド対空捜索レーダーであるRAN-3Lを基にしています。しかし、RAN-10Sでは周波数がSバンドに変更され、全体的にシステムが小型化されました。これは、最新の艦艇に適合させるための重要なステップでした。

性能と特長

RAN-10Sは、戦闘機に対して最大40海里（約74 km）までの探知能力を持ち、また、シースキマーと呼ばれる低高度飛行の目標（高度3メートル、レーダー反射断面積0.1m²）に対しても5.5海里（約10.2 km）の有効探知範囲を示します。レーダーの設計には、安定した探知を目的としたパラボラアンテナが採用されております。1986年になると、新たにソリッド式のSMA-7104型アンテナが登場し、メッシュ式のG10型に代わって使用されるようになりました。

中国での応用

さらに注目すべきは、RAN-10Sが海外でのリバースエンジニアリングにより模倣された点です。中国の船舶重工集団（CSIC）に属する第723研究所は、本レーダーの技術をもとに360型対空対水上レーダー（H/LJQ-360）を開発しています。この360型は、中国人民解放軍海軍によってフリゲートに搭載されており、輸出仕様としてはSR-60やS-3、シーガル-Sといった名称で知られています。

他のレーダーとの比較

RAN-10Sは、同じ目的で設計された他社製レーダーと比較しても、その技術的な優位性が際立っています。たとえば、蘭シグナール社から開発されたDA-08や、英マルコーニ社の992R型レーダーといった製品と同じカテゴリーに位置していますが、特にイタリア製の信頼性と高い性能は肉薄3倍とも言われることがあります。

結論

RAN-10Sは、イタリアの防衛産業の重要な成果物であり、実際の軍事運用でもその成果を上げています。艦艇にとって不可欠なセンサーとしての役割を果たし続けていることから、今後の防衛技術の進展においても注目される存在と言えるでしょう。

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