ダルバート

ネパールの国民食：ダルバート

ダルバート（ネパール語：दालभात dālbhāt）は、ネパールで日常的に食されている代表的な家庭料理です。日本語で言うところの定食のようなもので、ネパールの人々にとって「料理」といえばダルバートを指すほど、親しまれている食事です。

ダルバートを構成する4つの要素

ダルバートは、主に以下の4つの要素から成り立っています。

1. ダル（daal）： 挽き割り豆を使ったスープです。レンズ豆、黒豆、キマメなど、ネパールでは300種類以上の豆が料理に使われ、ダルはその主役と言えるでしょう。サラッとしたスープは、米飯にかけて混ぜて食べるのが一般的です。
2. バート（bhaat）： 米飯のことです。細長く、パサパサとした食感のバスマティ米（インディカ米）が使用されます。ネパールでは、白米以外にも、トウモロコシやシコクビエなどの粉を熱湯で練ったディロや、ローティ（パン）なども主食として食べられています。
3. タルカリー（tarkaarii）： おかずで、野菜をスパイスで炒めたカレーが一般的です。ジャガイモ、カリフラワー、ニガウリなど、様々な野菜が使われ、店によっては日替わりで提供されるなど、工夫が凝らされています。肉料理が添えられることもありますが、家庭料理では週に一度程度と比較的稀です。ダルとバートのみのシンプルな組み合わせの場合もあります。
4. アツァール（acaar）： 辛口の漬物です。大根やジャガイモなどを用い、乾燥グリーンピースやティンブール（サンショウ）、焦がしたフェヌグリークなどの独特の風味があります。小型の激辛青唐辛子であるクルサーニ（khorsāni）を薬味として添えることも多く、料理全体の辛さが足りない場合は、生で齧りながら食べます。

ダルバートの特徴：スパイスと栄養バランス

ダルバートは、ターメリック、クミン、コリアンダーなどのスパイスをベースとした、マイルドで、あっさりとした味わいが特徴です。インド料理と比較すると、唐辛子の使用量は少なく、日本人にも食べやすい味付けです。特にダルはマイルドなため、スパイシーなタルカリーとの相性も抜群です。

タルカリーに使用されるスパイスには、ウコン、ニンニク、黒コショウ、ショウガ、唐辛子などがあり、様々なスパイスをあらかじめ調合したミックスマサラ（ガラムマサラなど）も使用されます。ネパールでは、「カレーパウダー」、「チキンマサラ」、「野菜マサラ」なども市販されています。

また、ダルバートは、豆、米、野菜、漬物と、栄養バランスが非常に良く、健康的な食事と言えるでしょう。

ダルバートと「ガチネパ」

ダルバートは家庭料理であるため、かつてはインド料理店で働くネパール人料理人の中には、ダルバートを提供することに抵抗を感じていた人もいました。しかし、新大久保のネパール料理店で留学生向けに提供されたところ評判となり、500円という価格で提供される店も現れるなど、日本人にも広く受け入れられるようになりました。

まとめ

ダルバートは、シンプルながらも奥深い魅力を持つネパールの国民食です。多様な豆や野菜、スパイスの組み合わせによるバリエーションの豊かさ、そして何よりもその栄養バランスの良さは、多くの人々を魅了する理由と言えるでしょう。ネパールを訪れた際には、ぜひ本場のダルバートを味わってみてください。

もう一度検索