ダルメイヤー

ダルメイヤー（Dallmeyer）

ダルメイヤーは、ジョン・ヘンリー・ダルメイヤー（John Henry Dallmeyer）によって設立された、イギリスのレンズメーカーです。創業当初はカメラの製造も手掛けていましたが、レンズ製造に特化していきました。日本では古く「ダルメヤー」とも表記され、写真黎明期において重要な役割を果たしました。

歴史

1851年、ジョン・ヘンリー・ドールメイヤーはロンドンに移住し、ロス社で技術を磨きました。
1860年、ダルメイヤー社を創業しました。
1866年、ラピッド・レクチリニアーレンズを発明しました。このレンズは、高速で歪曲収差が少ないという特徴を持っていました。
1892年、法人として正式に設立されました。
1922年、ペンタックレンズを発売しました。

カメラ製品

ダルメイヤーは、数は少ないながらもカメラを製造していました。以下に代表的なカメラ製品を紹介します。

ロングフォーカスカメラ（1899年）
12×16.5cm判の写真乾板を使用するカメラです。蛇腹を54cmまで伸ばすことができ、望遠撮影に強みを持っていました。また、ベース下端をドロップできる構造のため、広角レンズの使用も可能でした。一台で幅広い撮影に対応できる柔軟なカメラでした。
スピードカメラ（1925年）
レンズはペンタック4¼in F2.9が搭載されています。このカメラは、シビル社製の部品が共通して使用されているため、ニューマン&ガーディア社からのOEM製品であると考えられています。

レンズ製品

ダルメイヤーは、数々の優れたレンズを製造しました。その一部を紹介します。

アドン（Adon）
ダルメイヤーのレンズの中でも特に有名なレンズの一つです。具体的なスペックや特徴については資料が少ないものの、多くの写真家から愛用されました。
ダロン（Dallon）
ダルメイヤーの代表的なレンズの一つです。ハッセルブラッド用やウィットネス用など、複数のバリエーションが存在しました。
ハッセルブラッド用ダロン
ハッセルブラッドの社外製望遠レンズとして製造されました。高性能なレンズとして、プロの写真家にも利用されました。
ウィットネス用ダロン
初期のウィットネスカメラに少数供給されたレンズです。
ペンタック（Pentac）
ダルメイヤーのレンズの中でも代表的なレンズの一つです。
大判用ペンタック
ペンタック4¼in F2.9などの大判カメラ用の高性能レンズを製造していました。
ラピッド・レクチリニアー（Rapid Rectilinear、RR）
1866年に開発されたレンズで、高速（F値が小さく、短い露光時間で撮影可能）で、直線が直線に写る（歪曲収差が少ない）という特徴を持っていました。ポートレート用の製品も存在しました。このレンズの開発は、写真の歴史において大きな進歩をもたらしました。
セプタック（Septac）
ダルメイヤーのレンズの一つです。
ウィットネス用セプタック
ウィットネスカメラ用の試作品として開発されたレンズが存在します。
セラック（Serrac）
ダルメイヤーのレンズの一つです。
スーパーシックス（Super-Six）
ダルメイヤーのレンズの一つです。
ウィットネス用スーパーシックス
ウィットネスカメラに供給されたレンズです。

ダルメイヤーのレンズが使用された例

ダルメイヤーのレンズは、日本の写真史においても重要な役割を果たしました。上野彦馬などの写真家がダルメイヤーのレンズを使用していたことで知られています。

また、ウィットネス社にレンズを供給していたことでも知られています。ウィットネスは、当時最先端の写真技術を駆使したカメラを製造しており、そのレンズにダルメイヤーの製品が採用されたことは、ダルメイヤーのレンズの品質の高さを物語っています。

参考文献

『クラシックカメラ専科』朝日ソノラマ
『クラシックカメラ専科No.23、名レンズを探せ!トプコン35mmレンズシャッター一眼レフの系譜』朝日ソノラマ
* 吉田正太郎『天文アマチュアのための望遠鏡光学・反射編』誠文堂新光社 ISBN 4-416-28813-1

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