ダンス・トゥ・ザ・ミュージック

ダンス・トゥ・ザ・ミュージック

『ダンス・トゥ・ザ・ミュージック』（Dance to the Music）は、アメリカ合衆国の革新的なバンド、スライ＆ザ・ファミリー・ストーンが1968年に発表した彼らにとって2作目のスタジオ・アルバムです。この作品は、ファンク、ロック、ソウル、サイケデリックといった多様な要素を融合させたサウンドを展開し、特に「サイケデリック・ソウル」というジャンルを広める上で極めて重要な役割を果たしたことで知られています。

アルバムの背景と成功

本作のリリースに先立ち、タイトル・トラックである「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」がシングルとして発表され、驚異的な成功を収めました。アメリカの権威あるBillboard Hot 100チャートで最高8位、R&Bシングル・チャートでは9位にランクインし、さらにイギリスの全英シングルチャートでも7位を記録するなど、各国で大ヒットとなりました。このシングルの成功が追い風となり、アルバム本体もビルボードの主要チャートに進出。Billboard 200で142位、R&Bアルバム・チャートでは11位をマークしました。

収録楽曲

オリジナル盤には、タイトルトラックのほか、バンドのその後のキャリアにおいても重要な意味を持つ楽曲が収録されています。特に「ハイヤー」は、1969年の傑作アルバム『スタンド!』に収録された代表曲「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」の原型となった楽曲として知られています。

オリジナル盤の主な収録曲は以下の通りです。

1. ダンス・トゥ・ザ・ミュージック - "Dance to the Music"
2. ハイヤー - "Higher"
3. アイ・エイント・ガット・ノーバディ - "I Ain't Got Nobody (For Real)"
4. ダンス・トゥ・ザ・メドレー - "Dance to the Medley"
ミュージック・イズ・アライヴ - "Music Is Alive"
ダンス・イン - "Dance In"
ミュージック・ラヴァー - "Music Lover"
5. リズムに乗って - "Ride the Rhythm"
6. カラー・ミー・トゥルー - "Color Me True"
7. 準備はいいかい - "Are You Ready"
8. ドント・バーン・ベイビー - "Don't Burn Baby"
9. アイル・ネヴァー・フォール・イン・ラヴ・アゲイン - "I'll Never Fall in Love Again"

評論家の評価

音楽評論家のステファン・トーマス・アールワインは、オールミュージック上でのレビューにおいて、本作の革新性を高く評価しています。彼は、本作がそれまでの音楽には見られなかった形で、ソウル・ミュージックに「輝くようなメロディ、万華鏡のようなアレンジ、複雑に絡み合ったインタープレイ、そして巧みで速いリズムに満たされたサイケデリックな陽光」をもたらしたと述べています。そして、「完璧ではないものの、やはり良いレコードである」と総括し、その音楽的な重要性を強調しています。

リマスター盤

後年発売されたリマスターCDには、いくつかのボーナス・トラックが追加され、本作の多面的な魅力をさらに深く知ることができます。1995年にレガシー・レコーディングスからリリースされたリマスターCDには、未発表曲「ソウル・クラッピン」が初めて収録されました。さらに、2007年盤のリマスターCDでは、「ソウル・クラッピン」に加えて、オーティス・レディングのカヴァー曲「アイ・キャント・ターン・ユー・ルース」や、シングル・バージョンを含む合計6曲のボーナス・トラックが追加収録され、より充実した内容となっています。

2007年盤に追加された主なボーナス・トラックは以下の通りです。

ダンス・トゥ・ザ・ミュージック（シングル・ヴァージョン）
ハイヤー（シングル・ヴァージョン）
ソウル・クラッピン
ウィ・ラヴ・オール
アイ・キャント・ターン・ユー・ルース (Otis Redding)
ネヴァー・ドゥ・ユア・ウーマン・ロング

参加ミュージシャン

本作の録音には、バンドの主要メンバーが参加しています。

スライ・ストーン - ボーカル、キーボード、ギター
フレディ・ストーン - ギター、ボーカル
ローズ・ストーン - キーボード、ボーカル
ラリー・グラハム - ベース、ボーカル
グレッグ・エリコ - ドラムス
シンシア・ロビンソン - トランペット
ジェリー・マルティーニ - サックス

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