ダーク・エージェント

ダーク・エージェント：ノアを騒がせた闇の代理人たち

プロレスリング・ノアにおいて、2004年に結成されたダーク・エージェント（D.A.）は、単なるヒールユニット以上の存在感を放ちました。その活動は、プロレス界に大きなインパクトを与え、多くの話題を呼びました。

結成と目的

当時、ノアの中堅選手は伸び悩んでいました。その状況に危機感を抱いた齋藤彰俊は、既存のスタイルにとらわれない新しいユニットを結成することを決意します。徹底的なヒールファイトを目指しましたが、ノアの空気感から笑いを交えた活動へとシフト。一見、コミカルな行動の裏には、中堅選手の地位向上という明確な目的がありました。

当初、齋藤はスターネスに所属していましたが、脱退後、井上雅央、そして高校の後輩である杉浦貴とタッグを結成。この3人を中心に、ダーク・エージェントは誕生しました。ユニット名は、番組で公募されたものの、齋藤の意向に沿うものが無かったため、自ら「闇の代理人」という意味で名付けられました。

勢力拡大と数々の騒動

D.A.は、その活動を通して「闇」の布教活動を行い、勢力を拡大していきます。越中詩郎や青柳政司といったベテラン選手、さらには外国人選手とも協力関係を築き、影響力を増大させました。しかし、彼らの行動は常に型破りでした。

例えば、田上明にD.A.のジャンパーを着せたり、小橋建太を梱包して「ダーク引越しセンター」と称したりするなど、常識外の行動で話題を振りまきました。小橋建太への奇行は、彼を怒らせ、GHC選手権で本来の実力を引き出すための策略でした。また、「打悪神社」を会場に建立するなど、プロレスの枠を超えたパフォーマンスで観客を魅了しました。

川畑輝鎮はD.A.入りを熱望していましたが、齋藤に認められず、ストーカー行為まがいの行動に出るなど、彼らを取り巻く状況は常に混沌としていました。

GHCタッグ王座挑戦と終焉

D.A.はGHCタッグ王座にも挑戦します。齋藤と井上のコンビで三沢光晴・小川良成組に挑戦表明するも、王座獲得とはなりませんでした。その後、小橋建太の長期欠場によるGHCタッグ王座決定トーナメントでは、齋藤がKENTA、杉浦が力皇猛と異例のタッグを結成して出場。王座奪取には至りませんでしたが、このトーナメントがD.A.の活動縮小のきっかけとなりました。

メンバーそれぞれの活動が活発になり、D.A.としての活動は徐々に減っていき、自然消滅もしくは活動休止状態となりました。明確な解散宣言はありませんでしたが、チームとしての活動は事実上終了しました。

D.A.の復活

しかし、2019年のグローバル・タッグリーグ戦で、齋藤彰俊と井上雅央が『ダークエージェント・リターンズ』として参戦。再びD.A.の名がリングに戻ってきました。

まとめ

ダーク・エージェントは、プロレスにおけるヒールユニットとして、既存の概念を覆す革新的な存在でした。彼らの活動は、常に話題に事欠かず、ノアという団体に大きな影響を与えました。笑いと策略、そして混沌とした彼らの歴史は、プロレスファンの記憶に深く刻まれています。メンバーそれぞれがその後も第一線で活躍したことも、D.A.の大きな遺産と言えるでしょう。彼らの活動は、プロレスにおけるユニットの在り方、そしてエンターテイメントの可能性を改めて示したと言えるでしょう。

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